著者
磯部 洋明
出版者
兵庫県立大学自然・環境科学研究所天文科学センター
雑誌
Stars and Galaxies (ISSN:2434270X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1, 2022-12-31 (Released:2023-02-10)
参考文献数
52

本稿はハンセン病療養所である国立療養所長島愛生園に1949年に設置され、1960年頃まで入所者による天文観測が行われていた長島天文台に関する記録をまとめたものである。同天文台は長島愛生園の気象観測所の一部として設置され、主に太陽黒点の観測と恒星等の掩蔽観測を行う他、園内の入所者や職員に向けた観望会も開催していた。天文台の設置と観測の指導にあたっては、京都大学花山天文台の台長であった山本一清と彗星観測者として知られる本田実が深く関わっており、観測記録は山本および東京天文台に送付されていた。ハンセン病療養所という特異な環境における長島天文台の天文観測はアマチュア天文学の歴史とハンセン病療養所の歴史の双方の観点から他に類例を見ない、後世にその記録を残すべきものである。

言及状況

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この論文に登場している長島愛生園の気象観測所主任の横内武男=依田照彦さんは、短歌で母への思いを詠んでいます。 数珠もちて吾の五体をさすり給ひし盲の母を思へば泣かるる 吾のこと言ふを憚る姉の家にひそかに堪へて母は逝きけむ https://t.co/VDvIREJ6Lb

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