- 著者
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西窪 加緒里
兵頭 政光
- 出版者
- 日本口腔・咽頭科学会
- 雑誌
- 口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.3, pp.399-405, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
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1
向精神薬の投与により嚥下障害をきたした15例について臨床的検討を行った.症例は男性9例, 女性6例で年齢は平均65.6歳であった.原疾患はうつ病が10例と最も多く, その他は, 非定型精神病, 身体表現性障害, アルコール依存症などであった.全例がベンゾジアゼピン催眠鎮静薬, 抗うつ薬, 抗精神病薬などを1種類以上投与されていた.6例では嚥下性肺炎の既往があった.嚥下造影検査では多くの例で咽頭クリアランスが低下しており, 8例で明らかな誤嚥を認めた.また, 造影剤の口腔移動時間が有意に延長しており, これらの結果, 口腔期および咽頭期嚥下が障害されていた.投与薬剤の減量や変更が行えた症例では, 嚥下機能の改善が得られた.