著者
永田 マリアポーシャ 山下 健一
出版者
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
雑誌
Synthesiology English edition (ISSN:18830978)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-84, 2021 (Released:2021-04-21)
参考文献数
17

家畜の繁殖性改善は、畜産業の生産性向上による食糧供給の安定化とともに、地方の産業振興やバイオエコノミーとしての位置づけなど、幅広い意義を持つ。我々は、牛の繁殖性改善のため、手薄とされる精子側の研究に取り組んだ。研究開発の方向性は、ヒトの不妊治療にかかる報告を参考にして、健全性の高い精子は、運動性も高いという点に着目し、運動している精子を周囲の溶液に流れを生じさせて集合させるという技術を開発することで、初めて人工授精にそのまま使える数の精子の捕集を成功させ、実証試験で良好な受胎成績を得た。併せて、実証試験の中で、受胎に有利な精子の性質を、その泳ぎの形に関係があることを明らかにした。

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