- 著者
-
丸山 豊
- 出版者
- 日本味と匂学会
- 雑誌
- 日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.1, pp.5-10, 2008 (Released:2018-05-30)
- 参考文献数
- 33
味蕾には味物質の受容を行い、そのシグナルを知覚神経に伝達する味細胞が局在している。近年、味覚受容体が相次いでクローニングされ、そのシグナル発生機構の一端が解明されつつある。しかし、受容体に結合して発生した味シグナルが味細胞間でどの様に変換され、知覚神経に出力されるのかあまり明らかになっていない。我々は味蕾内での味シグナルの伝達経路と関与する伝達物質を明らかにすることを目的とし、研究を行った。その結果、味刺激はreceptor cellからATP放出を引き起こし、このATPはpresynaotic cellからのセロトニン放出を惹起することが明らかになった。これら両伝達物質が味シグナルの伝達に関与する可能性が考えられた。