著者
坂本 惠
出版者
待遇コミュニケーション学会
雑誌
待遇コミュニケーション研究 (ISSN:13488481)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.91-96, 2019-02-01 (Released:2020-02-01)

本稿では「待遇コミュニケーション」「敬語コミュニケーション」でのいくつかのキーワードについて考察した。「丁寧」と「配慮」は同じ文脈で使われることもあるが、意味、用法の違いがある。「丁寧」は「乱暴でなく、心を込めて十分に考えて行う」というような意味で、相手を想定していない場合も多く、行動の仕方、方法、行動するときの様式を表している。一方「配慮」は「ある状況に対して、多くは特別な状況や、不十分な状況であることを理解して、それに合った、特別な扱いをする」というような意味で、必ず相手を必要とする。「尊敬」は人に対して使われ、「その行動、言動がすばらしいものだと感じられ、その人を真似したいと思い、仰ぎ見る存在であると思う」ことを表し、「尊重」は対象は人とは限らず、「何かを特別なものとして軽視せず、そのものとして大事に扱う、認める」という意味で、行動を伴うものである。「敬意」は「尊敬」に近いが、主に人に使いその人を「尊重」する気持ちである。「誠意」は自分自身の相手に対する気持ちであるが、それをどのように示すかという意味で関連表現である。「誠意」をどのように示すかは文化、言語によって異なることが知られている。これらの語はよく使われているが、実際には定義が難しく、他の言語に翻訳することも難しい。注意して使う必要がある。

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