著者
塚本 増久
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.215-228, 1989-09-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

1986年度文部省科学研究費による海外調査でマレーシアの蚊相を調べた際, ボルネオ島キナバル山の高所に自生する, 食虫植物ウツボカズラの壺から数種の蚊幼虫を採集する機会があったので, その系統分類学的研究を行った。それらのうちのクシヒゲカの1種は1929年に採集され, Culex shebbeareiとして記録されていたものであったが, これを精査したところ東ヒマラヤ原産のこの学名の種とは全く異なり, 新種であることが判明したので, Culex (Culiciomyia) raiahオウサマクシヒゲカ (新称) と命名して詳しい記載を与えた。また, 同種のウツボカズラから発生するオオカも未記載の新種であることが確認されたので, これもToxorhynchites (Toxorhynchites) rajahオウサマオオカ (新称) と命名し, 成虫, 蛹, 幼虫などの形態について記載を行った。学名および和名は, これらの蚊が採集された巨大なウツボカズラNopenthes rajahの種小名 (王様の意) に基づくものである。なお, 同じ水域にはCulex (Lophoceraomyia) jenseni, Uranotaenin (Pseudoficalbia) moultoni, Tripteroides (Rachionotomyia) sp. No.2などの蚊幼虫も発生していた。

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