著者
芳賀 康朗
出版者
河原学園 人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.104-111, 2016 (Released:2018-04-23)

本研究では,日常生活における失敗行動と空間認知能力との関連性を明らかにするために、 失敗行動の経験頻度と空間認知能力の自己評定との相関関係について分析した。大学生を対象 とした質問紙調査を実施した結果、「地下街やショッピングセンターで迷う」、「曲がるべき道を 間違えて通り過ぎる」、「一緒に買い物をしていた友人や家族を見失う」といった失敗の経験頻 度が方向感覚の自己評定(方向感覚の悪さ)と中程度の正の相関を示した。また、「押して開け るドアを引いて開けようとする」、「階段や廊下でつまずく」と「テーブルや机の脚に自分の足 の指をぶつける」といった歩行時の失敗と方向感覚の自己評定との間接的な関連も見出された。 これらの結果から、空間認知能力は自己定位、経路選択、場所の記憶といった複雑な情報処理 のみでなく、不注意や知覚運動協応のミスといった単純なアクションスリップとも関連してい る可能性が示唆された。

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