- 著者
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森下 和路
安藤 信
- 出版者
- 京都大学大学院農学研究科附属演習林
- 雑誌
- 森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
- 巻号頁・発行日
- no.74, pp.35-45, 2002-12 (Released:2011-03-05)
京都市周辺の都市林では、1980年代以降に激化したマツ枯れにより、多くのアカマツが枯死した。京都市市街地北部における近接3地域(宝ヶ池、神山、上賀茂)の都市林について、マツ枯れ前後の植生図を比較し、林相変化を明らかにした。植生図は1982年、1990年、1998年撮影の航空写真から作成し、各林分を優占種によってアカマツ林などの林分タイプに分類した。1982年には、アカマツ林が最も多く見られ、宝ヶ池及び神山地域で60%以上、上賀茂地域でも約30%の面積を占めた。しかし、3地域のアカマツ林の面積は、1998年にはそれぞれ0.6%、4.6%、2.1%にまで減少していた。宝ヶ池及び神山では、マツ枯れ後、谷地形で落葉広葉樹が順調に林冠層に現れたのに対し、尾根地形では林冠層を欠く林分が多く出現した。上賀茂では、マツ枯れ後、ヒノキが林冠層に現れた林分と、ヒノキ以外の樹種が優占した林分が存在し、その後それぞれが地形に応じて様々な林相に変化した。以上より、これらの地域におけるマツ枯れ後の林相変化にはいくつかのパターンが存在し、その 違いには地形やマツ枯れ以前の林分構造が影響していると考えられる。