著者
小野 豪朗 寺田 竜太 奈良 武士
出版者
佐賀大学海浜台地生物環境研究センター
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-76, 2003-12 (Released:2011-03-05)

原虫トリパノソーマ・クルーズが引き起こすシャーガス病は有効な治療法がなく、ラテンアメリカにおいて公衆衛生上問題となっている。そこで、我々は、新規シャーガス病治療薬の開発を目的に、日本沿岸より採取した計341種の海藻のMeOHならびにPBS抽出液を対象にして、組換えトリパノソーマ・クルーズジヒドロオロト酸脱水素酵素(rTcDHOD)に対する阻害活性のスクリーニングを行った。その結果、6種の海藻のMeOH抽出液ならびに3種の海藻のPBS抽出液に20%以上のrTcDHOD阻害活性が観察された。中でも、褐藻イシゲのMeOH抽出液は42%もの高いrTcDHOD阻害活性を示し、試験した30~121℃並びにpH3~10域で安定であることが明らかとなった。また、その抽出液は濃度依存的なrTcDHOD阻害活性を示し、正常ヒト線維芽細胞(HDF)に対して250μg/mlまでの濃度おいて毒性は観察されなかった。これらのことより、褐藻イシゲには新規シャーガス病治療薬の開発に有望なrTcDHOD阻害物質の存在が明らかとなった。

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