著者
杉浦 真治 山崎 一夫
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.201-205, 2005 (Released:2011-03-05)

イワナシ属Epigaeaはわずか3種を含むツツジ科の小低木で、北米、コーカサス、日本にそれぞれ分布する。北米産アメリカイワナシE. repensの種子はアリにより散布されることが知られている。ツツジ科の中でアリによって種子散布が行われる種は他に全く知られていない。日本産イワナシE. asiaticaの種子もアリによって散布されるかどうかを明らかにするために、2004年5月に京都市郊外の二次林林床に生育するイワナシの果実訪問者を調査した。その結果、5種のアリのワーカーがイワナシの果実を訪れ、果肉を摂食しているのを観察した。さらに、ヤマトアシナガアリAphaenogaser japonicaのワーカーが果肉と一緒に種子を運んでいた。ヤマトアシナガアリは日本産アリ散布植物の散布者として、しばしば記録されている種類である。これは、日本産イワナシの種子もアリによって散布されていることを示唆している。しかし、イワナシの果肉のある甘い果実は、他の動物も誘引する可能性がある。

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