著者
佐々木 雄大 大澤 雅彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.251-256, 2005-10 (Released:2011-03-05)

草原全体として種組成の単純化が認められる兵庫県東お多福山草原であるが、登山道周辺においては草原内部よりも多様で特異な群落構造が見受けられる。そこで、本研究では登山道周辺の群落構造および種多様性に着目し、これらに特異性を与える主要因を利用客による踏みつけによるものと推定し、定量的に分析した。結果から、種組成の単純化が認められる本草原登山道周辺において、踏みつけの影響は必ずしも負の影響をもつとはいえないことがわかった。特に中程度の踏圧(土壌硬度で3.0-7.5kg/cm2)は、多様性を増加させた。整備された登山道を増やすことによって、適度な踏圧のもとで登山道が利用されるように促すことは、本草原登山道周辺における多様な草本植生の生育の場を提供することにつながると示唆される。

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