著者
野田 諭 松谷 慎治 浅野 有香 倉田 研人 柏木 伸一郎 川尻 成美 高島 勉 小野田 尚佳 大澤 雅彦 平川 弘聖
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.139-143, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
15

症例は66歳女性。高CEA血症の精査にて甲状腺腫瘍を指摘され当院紹介。右葉に18mm大の腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で濾胞性腫瘍と診断された。濾胞性腫瘍として1年6カ月超音波のみで経過観察され変化を認めなかった。2年6カ月後,他院PET検査で甲状腺への異常集積を指摘され,再受診した。CEAの上昇,腫瘤の増大傾向を認め,カルシトニンが高値であり,手術を施行,術中組織検査にて髄様癌と診断,非機能性の副甲状腺過形成を伴っており,甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清と副甲状腺全摘術および自家移植を施行した。病期はpT2N0M0 StageⅡであった。初診時の画像および細胞診結果から濾胞性腫瘍と診断,長期超音波で経過観察された髄様癌の1例を経験した。初診時診断に反省すべき点は多いが,経過を追えた点で貴重な経験と考え,文献的考察を加えて報告する。
著者
佐々木 雄大 大澤 雅彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.251-256, 2005-10 (Released:2011-03-05)

草原全体として種組成の単純化が認められる兵庫県東お多福山草原であるが、登山道周辺においては草原内部よりも多様で特異な群落構造が見受けられる。そこで、本研究では登山道周辺の群落構造および種多様性に着目し、これらに特異性を与える主要因を利用客による踏みつけによるものと推定し、定量的に分析した。結果から、種組成の単純化が認められる本草原登山道周辺において、踏みつけの影響は必ずしも負の影響をもつとはいえないことがわかった。特に中程度の踏圧(土壌硬度で3.0-7.5kg/cm2)は、多様性を増加させた。整備された登山道を増やすことによって、適度な踏圧のもとで登山道が利用されるように促すことは、本草原登山道周辺における多様な草本植生の生育の場を提供することにつながると示唆される。