- 著者
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友田 清彦
- 出版者
- 東京農業大学農業経済学会→食料・農業・農村経済学会 (121号-)
- 巻号頁・発行日
- no.106, pp.1-12, 2008 (Released:2011-01-27)
近代日本における勧農政策の本格的な展開は、明治6年(1873)11月における内務省の創設、および明治7年(1874)7月における同省勧業寮の設置をもって開始される。内務省期における勧農政策展開の担い手となった農政実務官僚のうち、最上層部を形成する官僚の多くは、明治4年(1871)から同6年(1873)にかけて行われた岩倉使節団の米欧回覧、および明治6年に開催されたオーストリアのウィーン万国博覧会に直接関係を有する人々であった。岩山敬義、田中芳男、佐々木長淳、池田謙蔵、関沢明清、前田正名、井上省三などであり、彼らの人的なネットワークこそが、内務省期における勧農政策展開の推進力となったのである。本稿では、彼ら内務省の農政実務官僚に焦点をあて、彼らによって勧農政策がどのように展開されていったのかについて明らかにした。