- 著者
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原 温久
北田 紀久雄
- 出版者
- 東京農業大学農業経済学会→食料・農業・農村経済学会 (121号-)
- 巻号頁・発行日
- no.118, pp.41-51, 2014 (Released:2014-07-07)
本研究では,今日注目されている植物工場産野菜について,消費者の認知の現状と購入意識の程度並びにその特徴について明らかにした。消費者アンケート調査の結果,植物工場を「知っている」と回答した人は7割に上り,このうち購入経験のある人は2割と少ないことが明らかとなった。この理由として,「お店で販売していない」,「意識したことがなかった」との回答が得られた。植物工場産野菜を今後「買おうと思う」と回答した人は約7割に上った。また通常の露地野菜と比較した場合の植物工場産野菜のイメージ評価(項目)では,「見た目」,「安全性」,「栽培時の環境への配慮」,「高級感」などのイメージ評価が高い一方,「おいしさ」と「栄養価」については低いことが確認された。潜在クラス分析の結果,購入が消極的である消費者(クラスター)ほど,安全性や高級感,栽培時の環境配慮のイメージ評価が低いことが明らかとなった。また,おいしさと栄養価については,購入に意欲的・消極的な消費者にかかわらず,その評価は露地野菜と比べて同等か低いことが明らかとなった。今後,植物工場産野菜の購入を促進させるためには,植物工場産野菜であることの表示を明確にすることが必要である。また,植物工場産野菜の安全性や栄養価は露地野菜と比較して優れていることの情報を普及・定着させることで,今後消費者の購入する可能性(割合)も高まっていくものと考えられる。