- 著者
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山下 裕作
- 出版者
- 養賢堂
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.1, pp.121-126, 2008 (Released:2011-01-20)
サクラとは、一般に、ウメ・モモ・アンズなどを除くバラ科サクラ属の植物の総称である。その名称の由来については、(1)「咲く」に複数を表す接尾語の「ら」を付したとする説、(2)稲の作神であるサの神が寄り憑く神鞍(クラ)からくるという説、そして(3)「木の花(サクラと思われる)」を象徴する木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)から「さくや」を取り転訛したという説、の三つに代表される諸説がある。大仰な目的意識などはないが、サクラは日本の国花であると意識されている。事実、日本文化とサクラとの縁は深い。春になり桜が咲けば、誰でも花見に出かけたくなるだろう。日本人の多くがサクラを好んでいるのである。そのサクラと農業という生業が密接に結びついていることを、ほんの少しでも明らかにすることが本稿の目的である。