著者
高倉 直
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.953-957, 2008 (Released:2011-12-19)

耕地からの蒸発散量を環境要因から算定するとき、そのすべてが耕地のエネルギー収支式から始まっていることは明らかである。すでにいくつかの手法が報告され、その改良法等も報告されている。歴史的に見れば、Penman-Monteithの式があまりにも有名である。50年以上も前にPenmanが植被のない状態での式を提案し、その後、Monteithが植被を含む場合にも適用できるように改良し、多くの論文や書籍等に紹介され、多くの研究に用いられてきた。このように、エネルギー収支式の残余項として求められることは明らかなことで、誰でも気が付くことであるが、最近放射温度測定が手軽になったにもかかわらず、この手法は意外に研究されていない。温室内や限られた面積の耕地の場合には、広大な面積に用いられる手法は適切とは言い難く、これまで水蒸気フラックスを測るPenman-Monteith法やボーエン比法が多く用いられているのが現状である。もう1点、重要なことは、蒸発散の算定は単に、耕地の微気象解析そのものが目的であるばかりでなく、それに基づく植物群落への灌水制御という側面があることである。そのためには、高価な測器を使うことなく、また限られた面積の植物群落にも適応出来る手法が望ましい。

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