著者
本間 裕人 徳田 宏晴 中西 載慶
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.195-199, 2009 (Released:2011-03-05)

チーズ製造における牛乳の代替原料として、植物性のタンパク質と脂質を豊富に含むナッツ類に注目し、各種ナッツ類を絞って得た乳液に対してプロテアーゼを添加し凝乳試験を行い、チーズ様食品の製造を試みた。13種類のナッツを用いて凝乳試験を行った結果、ブロメライン、パパイン、サーモリシン、サブチリシン、E. faecalis TUA 2495 L株由来プロテアーゼ、あるいはE. faecalis IAM 10065株由来プロテアーゼを添加した場合において、多くのナッツ類で乳液がカードとホエーに分離し、カード形成能が認められた。特に麻の実、ココナツ、アーモンド、松の実あるいはマカダミアナッツを原料とした乳液で良好な凝固が認められた。そこで麻の実、ココナツ、アーモンド、松の実、カシューナッツ、マカダミアナッツの6種のナッツ類を用いて実際にチーズ様食品の製造を試みたところ、試験したすべてのナッツにおいてチーズ様食品を製造することが可能であった。製造したチーズはいずれも牛乳チーズよりも軟質で、収量については多くのもので牛乳チーズと同程度であった。香りについては原料ナッツ由来の香りと乳酸発酵によるヨーグルト様の香りを有している物が多かった。一般成分については、多くのナッツチーズで牛乳チーズよりも低タンパク高脂質であった。製造したナッツチーズの中では、ココナツチーズが硬度や香りの点で優れていた。また、原料あたりのチーズ収量は麻の実チーズが最も多く、一般成分やpHなども牛乳チーズに近かった。

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