著者
本間 裕人 中村 和夫 川村 拓未 徳田 宏晴 中西 戴慶
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-29, 2013-04-30 (Released:2018-03-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

きのこ類を用いて味噌の製造を行った.味噌の製造に利用可能なきのこ類の選抜を行ったところ,11株のきのこ類において顕著な耐塩性プロテアーゼの生産性が認められた.そこでそれらの菌株を用いて実際に味噌を試醸したところ,すべての菌株において28日間の熟成で柔らかいペースト状となり,きのこ味噌を製造することができた.製造したきのこ味噌の一般食品成分分析を行ったところ,いずれも市販米甘口味噌に近い値を示した.熟成度合いについて調べるため可溶性窒素量を調べたところ,市販米甘口味噌が8.32g/kgであったのに対し,トキイロヒラタケ味噌では8.46g/kgであった.ホルモール窒素について調べたところ,市販米甘口味噌が3.67g/kgであったのに対し,エノキタケ味噌で4.42g/kgであった.アミノ酸組成について調べたところ,11株中5株のきのこ味噌でグルタミン酸含有量が市販米甘口味噌より高かった.
著者
本間 裕人 徳田 宏晴 中西 載慶
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.195-199, 2009 (Released:2011-03-05)

チーズ製造における牛乳の代替原料として、植物性のタンパク質と脂質を豊富に含むナッツ類に注目し、各種ナッツ類を絞って得た乳液に対してプロテアーゼを添加し凝乳試験を行い、チーズ様食品の製造を試みた。13種類のナッツを用いて凝乳試験を行った結果、ブロメライン、パパイン、サーモリシン、サブチリシン、E. faecalis TUA 2495 L株由来プロテアーゼ、あるいはE. faecalis IAM 10065株由来プロテアーゼを添加した場合において、多くのナッツ類で乳液がカードとホエーに分離し、カード形成能が認められた。特に麻の実、ココナツ、アーモンド、松の実あるいはマカダミアナッツを原料とした乳液で良好な凝固が認められた。そこで麻の実、ココナツ、アーモンド、松の実、カシューナッツ、マカダミアナッツの6種のナッツ類を用いて実際にチーズ様食品の製造を試みたところ、試験したすべてのナッツにおいてチーズ様食品を製造することが可能であった。製造したチーズはいずれも牛乳チーズよりも軟質で、収量については多くのもので牛乳チーズと同程度であった。香りについては原料ナッツ由来の香りと乳酸発酵によるヨーグルト様の香りを有している物が多かった。一般成分については、多くのナッツチーズで牛乳チーズよりも低タンパク高脂質であった。製造したナッツチーズの中では、ココナツチーズが硬度や香りの点で優れていた。また、原料あたりのチーズ収量は麻の実チーズが最も多く、一般成分やpHなども牛乳チーズに近かった。
著者
森 直子 小柏 道子 山下 式部 藤井 わか子 上田 伸男 本間 裕人 鈴木 久雄 益岡 典芳 汪 達紘
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.191-200, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
44

野菜・果物摂取に関する心理社会的要因について性・年齢階級別の特徴をまとめた。 2011年10月-2013年6月の間、中国地方と近畿・九州地方の一部および関東地方に在住する18歳以上の男女3,179人を対象に自記式調査にて横断研究を行った。 高齢世代ほど野菜・果物の自己申告摂取量が多く、野菜の自己申告摂取量が多い者は、全年代とも「自己効力感」および「態度」の得点が高く、「障害」の得点は低いことが分かった。一方、果物摂取に及ぼす同要因として、全年代で「自己効力感」および「態度」、18-20歳代では「社会的支援」が重要要因であると推定された。同要因オッズ比を見ると「責任」、「自己効力感」、「態度」、「障害」、「態度」および「知識」は女性で世代差がある一方で、男性では「態度」および「知識」以外には差がなかったことから、性・年齢階級別に差があることを考慮し野菜・果物摂取量増加に向けた取り組みをする必要がある。
著者
徳田 宏晴 本間 裕人 中西 載慶
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.126-137, 2012-09-21

我が国の地ビールの一般成分分析を,カテゴリー(上面発酵濃色・淡色,下面発酵濃色・淡色)・醸造期間別(1999-2002年および2008-2010年)に行った。その結果,いずれのカテゴリーのビールにおいても,醸造年度により成分組成(品質)に若干の変動が見られた。近年の地ビールでは,10年ほど前ものと比較して,ビール中のリンゴ酸濃度の低下とクエン酸濃度の増加が認められた。また,ポリフェノール含量が低下していた。さらに,近年その数が増加傾向にあるオリジナル・スタイルビールでは,有機酸と糖質の風味バランスが保たれつつ,両者の濃度が増量されたビールが多かった。小規模醸造によって生産される地ビールに関するこの様な特性を消費者に認識していただき,地ビール業界が今後とも継続的に発展することに期待したい。
著者
本間 裕人 数岡 孝幸 徳田 宏晴 中田 久保 中西 載慶
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.189-198, 2013 (Released:2014-03-06)

ビールの抗酸化活性について,スタイルごとの品質特性を明らかにするため,様々なスタイルのビール類のDPPHラジカル消去能,スーパーオキシド消去能を測定し比較を行った。その結果,DPPHラジカル消去能はインペリアルスタウト,ボック類,IPAおよびスタウト等で高く,それぞれの平均値は254.1,232.7,201.0および195.8nmol Trolox/mlであった。一方,DPPHラジカル消去能が低かったのは発泡酒・ビール風飲料,ヴァイツェン類およびピルスナー等で,それぞれの平均値は54.7,110.9,120.9nmol Trolox/mlであった。スーパーオキシド消去能については,インペリアルスタウト,スタウト,ポーターおよびバーレーワイン等で高く,それぞれの平均値は90.0,74.0,72.5および71.3%であった。一方,ブロンドエール類,ピルスナー,発泡酒・ビール風飲料において活性は低く,それぞれ18.1,18.7および19.8%であった。これらのビール類の抗酸化活性をワイン類と比較すると,いずれも赤ワインよりは低値であったが,スタイルによっては白ワインよりも高値であった。また,DPPHラジカル消去能と総ポリフェノール量,苦味価,推定初期比重の相関性を調べたところ,DPPHラジカル消去能は総ポリフェノール量と高い相関性を示した。