著者
三浦 知之
出版者
宮崎大学農学部
巻号頁・発行日
vol.57, pp.71-77, 2011 (Released:2012-12-03)

国指定の天然記念物となっているオカヤドカリ類は、主産地である南西諸島や小笠原諸島以外に宮崎県にも生息し、地域の方には子供の磯遊びの対象として古くから知られている。しかしながら、生息状況には不明な点が多く、一方でオカヤドカリ類が放置ペットとして野外でも見られることがあるため、保全対策などにも影響があり、早期に分類と分布に関する情報を把握する必要があった。そこで本研究では宮崎県内に生息するオカヤドカリ類を分類し、形態等に関する基礎資料を提示し、その生息分布に関しても報告することとした。宮崎県内の10ヵ所以上の海岸で、2種のオカヤドカリ類が見つかった。ムラサキオカヤドカリの雄は左右不相称で著しく長さの異なる第5脚底節突起を持つことが形態的特徴となる。本種は宮崎県の海岸に広く見られ、抱卵した雌が見つかることから、県内で繁殖し、個体群を維持していると考えられた。一方、ナキオカヤドカリでは、雄の第5脚底節左右突起の長さの差は、前種に比べて小さい。串間市本城川河口干潟に4~5月に出現の確認されるナキオカヤドカリはいずれも亜成体と思われる小型の個体であり、南西諸島から運ばれた幼生が定着している可能性が考えられる。

言及状況

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