著者
三浦 知之 三浦 要 富岡 宏 佐伯 めぐみ 三橋 利恵
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.51-68, 2012-02-24

宮崎県門川湾の庵川東西入り江(32°29'N,131°41'E)は,干潟域14haおよび藻場域がおよそ7haであり,アマモ,コアマモおよびノトウミヒルモの群落が見られる。両入り江から57科120種の貝類と46科86種の甲殻類および腕足類1種が確認された。庵川東入り江から98種の貝類と69種の甲殻類が,庵川西入り江から55種の貝類と54種の甲殻類が記録され,貝類33種と甲殻類37種は両入り江に共通であった。さらに腕足類のカサシャミセン類の1種は庵川東入り江の転石下に生息し,宮崎県では他の海岸でも見つかり,今後も生息地の確認は増える可能性がある。庵川東入り江は東側を縁取る岩礁域がほぼ自然のまま残されており,庵川西入り江に比べて,干潟面積が2.8倍,海草群落の面積が1.6倍広いため,出現種が多くなったものと思われる。
著者
三浦 知之 宇都宮 美樹 北嶋 雄太 富岡 宏
出版者
宮崎大学農学部
巻号頁・発行日
vol.60, pp.29-39, 2014 (Released:2014-09-03)

宮崎県および近隣の海域から得られる甲殻類に寄生するエビヤドリムシ上科等脚類の形態・生息状況などの概要を報告した。本報告ではヤドリムシ科の2亜科10種が記録された。また,これら以外に2種が得られている。そのうち,アナジャコノエラヤドリは日本からは最初の記録である。また,ミナミカニダマシヤドリおよびオウギガニヤドリムシは未記載種の可能性も含めて今後とも検討が必要である。上記の10種のうち,マメコブシヤドリムシ以外は,いずれも宮崎県からは初めての記録となる。マメコブシガニは県内の干潟域に普通に生息しているので,今後調査を重ねて確認を行う。
著者
日野 晶也 角田 恒雄 釜野 徳明 野川 俊彦 小笠原 強 速水 格 松本 政哲 服部 明彦 西川 輝明 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 森田 博史 姚 揚貨 易 新生 小宮山 寛機 林 正彦 川村 将弘 張 恵平
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.127-129, 2002-03

約100万種といわれる海洋生物は,地上における最も未知の世界である。この海洋生物から,医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し,構造を明らかにし,生理活性を検討することを目的としている。NIHで臨床試験中のドラスタチン10(ウミウシ成分)とブリオスタチン1(フサコケムシ成分)は,釡野がその研究に携わったものである。平成元年以来,日野,西川等の協力を得て,平塚付近(相模湾)および岩手県大槌町付近(大槌湾)の海洋生物を検討し,特に青森,浅虫湾のフサコケムシからブリオスタチン10という強い抗癌性物質を見いだし,抗エイズ活性もあることが分かった。また,これらの物質には,ホルモン産生活性などの作用の存在も明らかになり,医薬品としての開発の可能性が考えられる。さらに,フロリダ産コケムシから10数種の新規アルカロイドを単離したが,このうちconvolutamydineが,ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60に対し,強力な分化誘導作用を示し,新たな抗癌剤発見の手がかりになる可能性もある。2000年度には,ほぼこれらのアルカロイドの全合成を完成した。これらの結果をふまえ,日本沿岸およびアジア各地の海洋生物について探索が計画されている。さらに,橋本,三浦等が「しんかい6500」,「しんかい2000」により採集した深海生物に対する検討も行い,今までに相模湾産シロウリガイとヘイトウシンカイヒバリガイおよびサツマハオリムシ,さらに巻き貝2種Alyinconcha cf. hesseleriおよびIfremeria nautileiの化学成分の検討を行っている。また,竹内等による南極付近の生物の入手も期待できる現状にある。さらに,新しく速水先生が加わり,洞窟生物の調査・採集が可能となっている。一方,生理活性,薬理作用検討に新たにそれぞれ小宮山博士,林博士,川村教授の協力が得られている。また,一昨年から中国でのフサコケムシの探索が姚新生教授と新たに参加した易楊貨教授によって開始され,かなり大量の生物が採集された。この生物からの活性物質の単離はこれからの大きな仕事であり,その結果が期待される。本年度は今までの生物成分のまとめを行った。特に,日本産ナマコ類成分,沖縄と真鶴で採集した日本産フサコケムシ成分,および深海巻貝2種の成分研究を完成した。
著者
向井 稜 三浦 知之
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.30-41, 2016-02-29 (Released:2018-03-30)

Sternaspid annelids are common and often abundant in the world ocean. They are usually corrected in sandy or muddy bottoms at a variety of depths. Sternaspid annelids are now known as characterized by the morphology of ventro-caudal shield, papillae of the body surface and posterior shield chaetae. Although sternaspid annelids recorded from Japan have been called as Sternsapis scutata since 1930s works, we could record two genera and seven species from Enshu-Nada, Kumano-Nada and off Sendai, East coast of Japan: Sternsapis scutata sensu strict, S. affinis, S. islandica, S. thalassemoides, S. costata, Petersenaspis capillata, and P. palpallatoci. Sternaspis has seven abdominal chaetigers and shield with radial ribs, concentric line or both. Petesenaspis has eight abdominal chaetigers and shield with poorly distinct ribs but no concentric line.
著者
三浦 知之
出版者
宮崎大学農学部
巻号頁・発行日
vol.57, pp.71-77, 2011 (Released:2012-12-03)

国指定の天然記念物となっているオカヤドカリ類は、主産地である南西諸島や小笠原諸島以外に宮崎県にも生息し、地域の方には子供の磯遊びの対象として古くから知られている。しかしながら、生息状況には不明な点が多く、一方でオカヤドカリ類が放置ペットとして野外でも見られることがあるため、保全対策などにも影響があり、早期に分類と分布に関する情報を把握する必要があった。そこで本研究では宮崎県内に生息するオカヤドカリ類を分類し、形態等に関する基礎資料を提示し、その生息分布に関しても報告することとした。宮崎県内の10ヵ所以上の海岸で、2種のオカヤドカリ類が見つかった。ムラサキオカヤドカリの雄は左右不相称で著しく長さの異なる第5脚底節突起を持つことが形態的特徴となる。本種は宮崎県の海岸に広く見られ、抱卵した雌が見つかることから、県内で繁殖し、個体群を維持していると考えられた。一方、ナキオカヤドカリでは、雄の第5脚底節左右突起の長さの差は、前種に比べて小さい。串間市本城川河口干潟に4~5月に出現の確認されるナキオカヤドカリはいずれも亜成体と思われる小型の個体であり、南西諸島から運ばれた幼生が定着している可能性が考えられる。
著者
三浦 知之 梶原 武
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス研究会誌 (ISSN:18838898)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.25, pp.40-45, 1983-10-31 (Released:2009-08-07)
参考文献数
5
被引用文献数
4 3
著者
三浦 知之 三浦 要 富岡 宏 佐伯 めぐみ 三橋 利恵
出版者
宮崎大学農学部
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 = Bulletin of the Faculty of Agriculture, University of Miyazaki (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.51-68, 2012-02-24

The faunal composition of benthic mollusks, crustaceans and a brachiopod was investigated in the East and West inlets (32°29'N, 131°41'E) of Kadogawa Bay, on the East central coast of the Kyusyu island, Miyazaki Japan. There are sea-grass bed areas consisting of Zostera marina, Z. japonica and Halophila nipponica in the East and West Iorigawa inlets. The sea-grass bed of the East inlet is wider than that of the West. The former is fringed by a natural rocky shore in its eastern margin, however the latter is guarded by the concrete embankment and situated between a small fishery port and a public park of buried sea bottom. The benthic communities were investigated 26 times from November 2006 to July 2011 and their components were compared and discussed.In total, 206 benthic animal species including 87 gastropods, 30 bivalves and 50 decapod crustaceans were recorded. Among these benthic species, 97 were known only from East inlet and 70 species were known from both inlets. We could recognize the benthic community richness in the Fast inlet and it thought to be resulted by the wider area and rich environments, such as, the rocky shore without artificial concrete constructions.
著者
三浦 知之 森 和也
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.47-63, 2008-01

宮崎港の北に位置する9.6haの一ツ葉入り江に出現する鳥類について、これまで1年間の調査による出現種の結果を報告したが、本報では出現鳥類の季節的消長と摂餌生態を報告するとともに、入り江を繁殖地とするコアジサシの営巣の状況と営巣地保全に関する考察をおこなった。2002年から2007年まで、一ツ葉入り江において22科60種の鳥類の飛来が記録され、環境庁レッドデータブックで絶滅危惧I類CRのクロツラヘラサギ、絶滅危惧II類VUのズグロカモメ、コアジサシ、セイタカシギ、アカアシシギ、ホウロクシギおよび準絶滅危惧NTチュウサギ、ミサゴ、カラシラサギが確認された。同記載種であるコアジサシは、2002年、2004年、2006年および2007年に営巣した。留鳥はチドリ科のシロチドリ、サギ科のコサギ、ダイサギ、アオサギおよびカラス科のハシボソガラス、シギ科のイソシギ、カワセミ科のカワセミ、タカ科のミサゴおよびサギ科のアマサギであった。他に非湿地性鳥類10種も出現した。シロチドリは入り江の砂嘴部で繁殖した。夏鳥としてはカモメ科のコアジサシ、アジサシ、クロハラアジサシ、ハジロクロハラアジサシおよびサギ科のササゴイの5種であった。冬鳥は、ガンカモ科のマガモを含む12種が記録された。旅鳥はシギ科のハマシギを含む18種が記録された。これらの鳥類に関して、糞あるいはペリットを排出直後に採取し、餌生物の分析を行った。特にシギ類は入り江の甲殻類や魚を良く捕食し、入り江で最も生息個体数の多いコメツキガニが糞やペリットに頻出した。コアジサシがほぼ毎年営巣していたが、特に2006年と2007年の観察を元に一ツ葉入り江のコアジサシ繁殖地としての可能性を考察した。営巣の攪乱要因としては、台風や大雨による水位の上昇および人・車・飼育動物の侵入の影響が大きく、人的攪乱をできるだけさけることが肝心であるが、自然災害に対しては営巣地の数を増やすことが唯一の対応策となろう。営巣地に必要な立地条件としては見通しの良い荒れ地であることが重要であり、草地化を防止し、砂利などを敷けば、一ツ葉入り江は数百規模の営巣が可能になると考える。
著者
三浦 知之 大園 隆仁 村川 知嘉子 矢野 香織 森 和也 高木 正博
出版者
宮崎大学農学部
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.17-33, 2005-03
被引用文献数
2

宮崎港の北に位置する阿波岐原公園には、9.6haの一ツ葉入り江があり、潟湖干潟が形成される。宮崎市内にあり、市民の立ち入りやすい公園内にあることなどから、極めて重要な意味をもった干潟であると考え、2001年から2004年まで、生物相の調査を行った。記録された貝類は、36種(腹足綱16種、掘足綱1種、二枚貝綱19種)であった。フトヘナタリ科巻貝のフトヘナタリCerihidea(Cerihidea)rhizophorarumは南奥部の潮間帯上部で密度が最大で104個体/m(2)を、カワアイC.(Cerihideopsilla)djadjariensisが北部の砂泥地の潮間帯下部で32個体/m(2)を、ヘナタリC.(Cerihideopsilla)cingulaaが南奥部の潮間帯上部で8個体/m(2)を記録した。また、日本本土では絶滅に近い状態にあるムシロガイ科のカニノテムシロPliarcularia bellulaが入り江の南端に普通に見られた。二枚貝類でも絶滅寸前と評価されているムラサキガイSoleellina adamusiiがごく普通に見られる。一ツ葉入り江から出現し記録された十脚甲殻類は、14科34種であり、カニ類だけでも6科26種に達した。飛来した湿地性鳥類は、8目12科39種であった。このような貴重な生物相と都市の中に位置する特徴から、一ツ葉入り江は多様性の保全と環境教育の啓蒙の視点で極めて重要な湿地であると結論された。
著者
川口 博憲 狩野 泰則 三浦 知之
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.45-53, 2006-07-20

This paper provides new knowledge on the geographic distribution, habitat preference and identification of Littoraria species on the tidal flats of mainland Japan. Littoraria ardouniana is first recorded from Kyushu and Honshu islands. Other mainland species include L. intermedia and L. sinensis, which have been frequently confused with each other in previous literature. The color of the kidney is used here as a new taxonomic character for the genus to distinguish the latter two taxa. A few juveniles of L. scabra have been collected from the Kii Peninsula in Honshu, but they presumably represent incidental occurrences of this tropical planktotrophic species. At the mouth of Honjo River in southern Kyushu, L. ardouniana, L. intermedia and L. sinensis abundantly co-occur on rocks and concrete walls in the upper littoral zone, while the first species is also found on reeds and tree branches in the supralittoral zone.
著者
三浦 知之
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

平成14年度は従来の研究を文献的に整理し、潜水探査機を用いた生物採集を実際に行うと共に、研究材料となる標本の収集を行った。特に、インド洋ロドリゲス三重合点に関しては、本申請と同時に別途共同調査を申請していた潜航調査に、平成14年1〜3月に申請者も参加できた。平成15年度は1989年に新科として発表したヤドリゴカイ科Nautiliniellidaeに関連して、日本海溝に生息するNautiliniella calyptogenicolaとよく似た、大西洋産種が新種であることがわかり、米国の雑誌に発表した。平成16年7月5日から9日にかけてスペインマドリッドで開催された第8回国際多毛類研究者会議において、シボグリヌム科多毛類すなわちハオリムシ類の生態について発表し、その体系分類のあり方についても外国人研究者との共同研究を発表し、ほかの研究者との情報交換を行った。これまでさまざまな深海調査により、採集してきた資料には、相模湾初島沖1170mで得られた、Nereis surugaense, Euclymene uncinata, Maldane cristata, Lumbrineris japonica, Eunice mucronata, Paraonides nipponicaなど既知種も多数含まれていたが、沖縄トラフ南奄西海丘で採集されたイソメ科多毛類は未記載種であることがわかり、新種として記載することとした。また、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船「よこすか」および「しんかい6500」による南西太平洋熱水生態系の全貌解明に向けた調査が、2004年9月23日から11月24日に実施され、その採集正物の中にハオリムシ類の未記載種が含まれていることがわかり、急遽記載の準備を進めている。採集されたハオリムシ類の一つは、Brothers Caldera (34°51.652'S,179°03.536'E;水深1604m;Oct.26,2004;Shinkai 6500 Dive 851)で得られ、今1種もBrothers Caldera (34°51.671'S,179°03.463'E;水深1598m;Oct27,2004;Shinkai 6500 Dive 852)でえられたものである。年度末ぎりぎりでの入手でもあり、最終報告には間に合わないが、米国の追随調査も予定されており、新年度には入り次第成果の発表に向かいたいと考えている。
著者
釜野 徳明 速水 格 日野 晶也 小笠原 強 関 邦博 服部 明彦 小竹 文乃 張 恵平 西川 輝昭 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 姚 新生 小宮山 寛機 川村 将弘
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.117-119, 1996-03

約100万種といわれる海洋生物は、地上における最も未知な世界である。本年度も、この海洋生物から、医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し、構造を明らかにし、生理活性を検討することを目的として研究を行っている。本年採集した生物は、39件29種であり、今までに189件を採集した。採集生物のリストを最後に示した。バイオアッセイを目印に、そのうち、海草、クダウミヒドラ、スポンジ、エボヤ、ユーレイボヤ、アカフジツボ、クロフジツボ、群体ボヤ、オオワレカラなどにつき有用成分の探索を行った。特に付着生物コケムシ類Bugla nertinaおよびAmathia convolutaを検討し、有益な知見を得た(研究の成果の項参照)。7月21日(金)、22日(土)には、本学平塚キャンパスおいて、「第1回海洋生物科学の基礎と応用(最近の進歩)シンポジウム」を開催した。海洋生物の基礎と応用研究にたづさわる最前線の各研究者の発表と講演を通し、相互の理解と現状を把握し、協力して大きな夢へ向かっての議論が出来たことは一般への啓蒙に加えて大きな成果であった。このシンポジウムには、基礎部門の代表者として本学の日野晶也助教授の協力を得ている。演者とシンポジウムのタイトルを後述する。このような基礎と応用を一同に会したシンポジウムは最初の試みであり、今後も続ける予定である。ちなみに今回の参加者はのべ150名であった。
著者
奥谷 喬司 橋本 惇 三浦 知之
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.91-96, 2004-01-31
被引用文献数
1

鹿児島湾の水深100m前後の海底には,古来から漁業者が「たぎり」と呼ぶ噴気孔がある。その周辺には有鬢動物の1種サツマハオリムシの大群集の存在が知られているが,それに伴って出現するキヌタレガイ科の1種を研究した結果,Solemya(Solemya)に属する新種と考えられるので記載する。Solemya(Solemya) tagiri n. sp.タギリキヌタレガイ(新種・新称)殻長2cm前後,外見は他のキヌタレガイ類と似ていて,細長い亜方形,殻頂はほとんど聳えず,後位7/9付近。漆塗り様の殻皮の色はややうすく,放射状彫刻に沿って細い赤褐色の色帯がある。靱帯は後位,外からは見えず後背縁と靱帯受との間にある。後背縁は僅かに持ち上がる。内部に支柱はない。消化管を欠き,鰓は著しく大きい。鹿児島湾の水深76〜116mの「たぎり」付近。備考:日本産の小型種,アサヒキヌタレは明らかな外靱帯があり(Acharax),またキヌタレガイでは靱帯は内在し(Petrasma),靱帯受にひだがある点で異なる。東太平洋のSolemya reideiはやや大きく(6cm)で,内面に靱帯葉と弾帯受に支柱を持つ点で区別される。