著者
金田 憲和
出版者
東京農業大学農業経済学会
雑誌
農村研究 (ISSN:03888533)
巻号頁・発行日
no.113, pp.25-38, 2011-09 (Released:2012-12-06)

本論文では,地域産業連関表のデータに基づき,近年における農業と食品産業の地域の生産額分布とその変動について検討した。まず,生産額の地域比率などの観察からは,近年,食品産業の生産額は特に関東で顕著に比率が高まり,北海道,東北,中国,四国などの地方で比率が低下するなど,都市的地域への集中が進んでいることが示された。地域集中度を表す指標の計算結果によれば,やはり食品産業では集中度の上昇が見られ,多くの品目で関東への生産の集中が起こっていた。シフト・シェア分析の結果によれば,農業では,どの地域も全体に生産額が縮小する傾向にあるのに対し,食品産業では「地域特殊要因」に非常に大きな地域差が存在し,食品産業の関東への集中の要因となっていた。このことから,6次産業化政策は必ずしも容易でなく,こうした傾向の十分な検討を行い対策を講じなければ,困難に直面する可能性があると考えられる。

言及状況

Facebook (1 users, 1 posts)

確かに言われてみれば、原材料を各地から集めて加工するような場合、 工場の立地は、原材料の諸産地のどこかというよりも、 物流網の結節諸地点のどこかにくるはずで、 そりゃ、単なる農業生産の場というだけで食品加工業が成立するわけはないですわな。 統計的には誤差でしかないような小規模ならともかく。 (以下引用) " まず、食品産業の地方部から都市部への集中が急速に進んでいることは、地方部から都市部へ付加 ...

Facebook における性別

収集済み URL リスト