著者
佐野 二郎
出版者
福岡県水産海洋技術センター
巻号頁・発行日
no.22, pp.57-61, 2012 (Released:2013-10-08)

ハスのOpsariichthys uncirostris uncirostris(Temminck and schlegel)は,原産地である琵琶湖から他の種苗に混じって進入してきた国内移入種であり,本県の漁業権河川においてもアユやオイカワ等,水産上有用な魚種への食害影響が大きい(佐野未発表)。本研究ではこれまで判明した生態的知見を元に,ハスの効率的駆除方法について検討を行った。ハスは投網による試験の結果,産卵期中の産卵場での採捕効率が他の時期や他の場所に比べ高かった。しかし,その産卵期と産卵場環境が近縁種のオイカワと一致しており,駆除時のオイカワ混獲が大きな問題となることから,ハスのみ採捕する手法として,(1)魚類を全て魚体への影響を少なく採捕し,採捕後にハス以外は逃がす,(2)ハスのみを選択的に採捕するの2手法を検討した。(1)については定置網を用いて,(2)については3種類の異なる目合いの刺し網を用いて試験を行った。定置網については漁具の構造上やハスの生態的特徴からほとんど採捕できなかった。刺し網試験では,目合い7節(網目内径5cm)の網が他の目合いに比べオイカワの混獲が少なく,かつハスを効率的に採捕することがわかった。加えて人工河川では,オイカワ用移動式産卵床を用いた投網による選択漁獲も有効であった。このような手法を用い生息する産卵親魚の2割以上を採捕することで駆除効果が期待された。

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