- 著者
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奥田 優
- 出版者
- 兵庫県森林動物研究センター
- 巻号頁・発行日
- no.1, pp.46-54, 2009 (Released:2017-11-16)
・レプトスピラ症はLeptospira interrogans(病原性細菌)感染に起因する人畜共通感染症である。・レプトスピラの保菌動物はげっ歯類をはじめとした野生動物であり、近年、個体数が急激に増加し、人の生活圏に出没する機会の増えているアライグマもまた、レプトスピラの保菌動物となる可能性のある動物である。・アライグマ防除計画が実施されている兵庫県内のアライグマにおいて、顕微鏡下凝集試験(MAT)を用いてレプトスピラ抗体保有率の調査を行うとともにPCRを用いてレプトスピラ遺伝子を検出した。・主に分布中心において回収された132頭のうちMATで84頭(63.6%)が抗体陽性を示した。・PCRでは48頭中4頭(8.3%)でレプトスピラ遺伝子が検出された。これらの結果から兵庫県のアライグマには広くレプトスピラが感染していることが明らかとなった。・アライグマの生息地域の拡大により、人の生活環境への接触の機会が増すことでアライグマから人への感染のリスクが高まる可能性が考えられる。