- 著者
-
佐藤 賢一
佐藤 岩夫
中村 幸二
- 出版者
- 埼玉県農林総合研究センター
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.1-9, 2005 (Released:2011-03-05)
農業用塩化ビニル資材中に含まれる、フタル酸エステルのハウスにおける動態を調べた。土壌中におけるフタル酸エステルの分解性は大きく、2週間程で初期濃度の1/10に低下した。農業用塩化ビニルフィルムからの溶出は、温度が高くなると増加した。ハウス内の気中におけるフタル酸エステル濃度は定量限界以下か室内環境基準値程度であった。フタル酸エステルは、ハウス内でビニルフィルムに付着した水分に伴って動くと推定された。ハウス栽培のコマツナにおけるフタル酸エステルは、フタル酸ジエチルヘキシルで0.07?0.24mg/kgと比較的低濃度であった。塩化ビニルハウス内で作物を栽培しても、通常の条件下では、フタル酸エステルの付着が問題になることは少ないと考えられるが、塩化ビニル中のフタル酸エステルは、ハウス内の結露水に溶けることから、結露水に作物を触れさせないことが、フタル酸エステルの付着を回避するためには最も重要と考えられた。