著者
佐藤 岩夫
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.81-108, 2005-03-30

日本の違憲審査制の現実の運用の特徴として違憲判決が極めて少ないことはよく知られている.その原因についてはさまざまな指摘があるが,その1つとして,内閣法制局による厳格な事前審査の存在があげられることがある.それによれば,内閣法制局による法律の厳格な事前審査の存在が裁判所の事後的な司法審査の機能領域を小さなものにしている.本稿は,この説明の妥当性を比較法社会学的な手法を用いて検証し,厳格な事前審査の存在が直ちに事後的な司法審査の機能領域を縮小させるのではなく,裁判所が自らの役割について一定の選択をしているという媒介要因(司法の役割観judicial role conception)が重要であることを主張する.
著者
佐藤 岩夫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_12-5_18, 2021-05-01 (Released:2021-09-24)

科学技術基本法が2020年6月に改正され、法律の名称も「科学技術・イノベーション基本法」に改められた。同法の改正は、1995年の法制定以来四半世紀ぶりのことである。この間、日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、折に触れて従来の科学技術基本法には看過できない問題があることを指摘し、その改正を提言してきた。日本学術会議の主張の骨子は、①人文・社会科学を含む総合的な学術政策の実現、②基礎科学・基礎研究の推進、③政府の科学・技術政策への科学者コミュニティの意見の反映の3点である。本稿は、これまで日本学術会議が発出してきた提言等を振り返り、今回の科学技術基本法改正に至る日本学術会議の取り組みと基本的な問題意識を改めて整理するものである。今回の基本法改正に合わせて内閣府設置法が改正され、科学技術・イノベーション政策に関する司令塔機能の強化が図られることとなった。科学技術・イノベーション政策や基本計画の策定に科学者コミュニティの意見を反映させる日本学術会議の役割は益々重要となると思われる。
著者
佐藤 岩夫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_12-5_18, 2021

<p> 科学技術基本法が2020年6月に改正され、法律の名称も「科学技術・イノベーション基本法」に改められた。同法の改正は、1995年の法制定以来四半世紀ぶりのことである。この間、日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、折に触れて従来の科学技術基本法には看過できない問題があることを指摘し、その改正を提言してきた。日本学術会議の主張の骨子は、①人文・社会科学を含む総合的な学術政策の実現、②基礎科学・基礎研究の推進、③政府の科学・技術政策への科学者コミュニティの意見の反映の3点である。本稿は、これまで日本学術会議が発出してきた提言等を振り返り、今回の科学技術基本法改正に至る日本学術会議の取り組みと基本的な問題意識を改めて整理するものである。今回の基本法改正に合わせて内閣府設置法が改正され、科学技術・イノベーション政策に関する司令塔機能の強化が図られることとなった。科学技術・イノベーション政策や基本計画の策定に科学者コミュニティの意見を反映させる日本学術会議の役割は益々重要となると思われる。</p>
著者
佐藤 賢一 佐藤 岩夫 中村 幸二
出版者
埼玉県農林総合研究センター
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-9, 2005 (Released:2011-03-05)

農業用塩化ビニル資材中に含まれる、フタル酸エステルのハウスにおける動態を調べた。土壌中におけるフタル酸エステルの分解性は大きく、2週間程で初期濃度の1/10に低下した。農業用塩化ビニルフィルムからの溶出は、温度が高くなると増加した。ハウス内の気中におけるフタル酸エステル濃度は定量限界以下か室内環境基準値程度であった。フタル酸エステルは、ハウス内でビニルフィルムに付着した水分に伴って動くと推定された。ハウス栽培のコマツナにおけるフタル酸エステルは、フタル酸ジエチルヘキシルで0.07?0.24mg/kgと比較的低濃度であった。塩化ビニルハウス内で作物を栽培しても、通常の条件下では、フタル酸エステルの付着が問題になることは少ないと考えられるが、塩化ビニル中のフタル酸エステルは、ハウス内の結露水に溶けることから、結露水に作物を触れさせないことが、フタル酸エステルの付着を回避するためには最も重要と考えられた。
著者
佐藤 賢一 佐藤 岩夫 成田 伊都美 中村 幸二
出版者
埼玉県農林総合研究センター
雑誌
埼玉県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:13467778)
巻号頁・発行日
no.6, pp.5-16, 2007-03

水稲や、エダマメ、ホウレンソウ、ネギ、キャベツ、レタス、ピーマン、ニンジン、ダイコン、サトイモ、サツマイモ等野菜は、その可食部中にダイオキシン類を吸収移行し、蓄積することは少ない。農作物のダイオキシン類濃度は、吸収より付着による影響が大きく、根等の様に表面が土壌に直接触れている部位で高い。農作物からのダイオキシン類摂取を少なくするためには、作物に付着しているダイオキシン類を少なくすることが有効で、葉菜類の外葉除去、果菜類、根菜類、イモ類の皮むきで、効果的に低減する。
著者
佐藤 賢一 佐藤 岩夫 成田 伊都美 中村 幸二
出版者
埼玉県農林総合研究センター
巻号頁・発行日
no.6, pp.5-16, 2007 (Released:2011-05-26)

水稲や、エダマメ、ホウレンソウ、ネギ、キャベツ、レタス、ピーマン、ニンジン、ダイコン、サトイモ、サツマイモ等野菜は、その可食部中にダイオキシン類を吸収移行し、蓄積することは少ない。農作物のダイオキシン類濃度は、吸収より付着による影響が大きく、根等の様に表面が土壌に直接触れている部位で高い。農作物からのダイオキシン類摂取を少なくするためには、作物に付着しているダイオキシン類を少なくすることが有効で、葉菜類の外葉除去、果菜類、根菜類、イモ類の皮むきで、効果的に低減する。
著者
佐藤 岩夫 広渡 清吾 小谷 眞男 高橋 裕 波多野 敏 浜井 浩一 林 真貴子 三阪 佳弘 三成 賢次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、法社会学・法史学・犯罪学専攻の研究者の学際的・総合的な共同研究を通じて、19世紀から現代に至るヨーロッパ各国の司法統計(裁判所組織統計・訴訟統計・犯罪統計等)の歴史的・内容的変遷を詳細に明らかにするものである。研究成果として、ヨーロッパの司法統計の歴史的発展および内容を包括的に明らかにした研究書としては日本で最初のものとなる『ヨーロッパの司法統計I:フランス・イギリス』および『ヨーロッパの司法統計II:ドイツ・イタリア・日本』を刊行した。
著者
三成 賢次 松川 正毅 高橋 明男 高田 篤 茶園 成樹 松本 和彦 中山 竜一 養老 真一 福井 康太 仁木 恒夫 水島 郁子 佐藤 岩夫 佐藤 岩夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、法曹の新職域として注目が集まっている弁護士業務の調査研究を行い、これに法領域横断的な理論的検討を加えることを通じて、近未来における法曹新職域のグランドデザインを提示することを目的とする研究プロジェクトであった。本研究では、諸外国の法曹とその養成課程に関する現状と課題を明らかにするとともに、主として最先端の企業法務を対象とする聞き取りおよびアンケート調査を実施し、法曹の職域の今後に関する模索的な研究を行った。本研究で特に力を入れたのは、全国2000社を対象とする「企業における弁護士ニーズに関する調査」、大阪弁護士会会員の約半数にあたる1500名を対象とする「弁護士業務に関するアンケート調査」、そして全国の企業内弁護士259人を対象とする「組織内弁護士の業務に関するアンケート調査」という3つのアンケート調査であった。それゆえ、本研究では、主として企業関連の弁護士の新しい職域の動向を明らかにすることとなった。