著者
高田 兼則 谷中 美貴子 池田 達哉 石川 直幸
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.41-48, 2008 (Released:2011-01-21)

日本の麺用小麦はオーストラリアからの輸入小麦銘柄(ASW)と比べて製麺適性が劣っている。西日本の小麦品種には高分子量グルテニンサブユニット(HMW-GS)がGlu-A1座の対立遺伝子がコードするサブユニットが欠失型(null)でGlu-B1座が7+8、Glu-D1座が2.2+12や2+12をもつ品種が多数を占める。そこで、これらの高分子量グルテニンサブユニットの小麦粉生地物性への影響を小麦品種「ふくさやか」を反復親として、8種類の準同質遺伝子系統を作出して分析した。Glu-D1座が2.2+12をコードする系統では、Glu-A1座が欠失型の場合、Glu-A1座がサブユニット1をコードする系統と比べて不溶性ポリマー含有率が有意に低く、小麦粉の生地物性も弱かった。とくに日本品種に多く見られるnull、7+8、2.2+12のサブユニット構成は最も弱い物性を示した。一方、Glu-D1座が2+12をコードする系統では、Glu-A1座のサブユニットの有無による不溶性ポリマータンパク質や生地物性への影響は小さかった。これらのことからGlu-A1座とGlu-D1座の対立遺伝子の組合せが、小麦の加工適性に大きく影響していることが明らかになった。これまでHMW-GS構成はSDS-PAGEを用いて判別するのが一般的であったが、サブユニット構成によってはGlu-A1座のサブユニットの判定が困難な場合がある。そこで、Glu-A1座のサブユニット1(Glu-A1a)、2(*)(Glu-A1b)およびnull(Glu-A1c)を判別するPCRマーカーを開発した。

言及状況

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・日本の小麦自給率の低さ ・オーストラリア産の中間質小麦(ASW)が優れているから 国産麺用品種の製麺性はまだASWにおよばない、という話 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030760719.pdf 日本麺用小麦の生地物性に対するGlu-A1とGlu-D1対立遺伝子の相互作用とGlu-A1対立遺伝子のPCRマーカーの開発(農林水産省 農林水産技術会議事 ...

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