著者
宍倉 正展
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-28, 1999-02-01
参考文献数
29
被引用文献数
4 6

房総半島南部の保田低地には,高位から保田I面,II面,III面,IV面の4面の完新世海岸段丘が発達する.詳細な地形・地質調査の結果,従来,元禄地震時(1703年)の地震隆起に伴い形成されたと考えられていた最低位の保田IV面は,段丘面上の泥炭の年代,歴史的遺物の証拠から元禄地震以前に離水していたことが明らかになった.さらに,地形的証拠と古文書・古絵図の記載から判断すると,保田低地は元禄地震時に沈降したと考えられる.また,保田I面,保田II面は4,350yrs BPより前,保田III面は2,200yrs BPより前に離水しており,いわゆる元禄型地震によって離水した沼面群とは対比できない可能性がある.これは,元禄型地震のたびに保田低地が沈降していることを示唆する.保田面群の成因を大正型地震によるものと考えれば,保田I面の旧汀線高度から,大正型地震の平均再来周期は670年以内であると推測される.

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