- 著者
-
伊藤 晶文
- 出版者
- 東北地理学会
- 雑誌
- 季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.1-18, 1999-03-15
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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宮城県北東部に位置する北上川下流沖積低地を対象に, ボーリング資料解析, FeS<sub>2</sub>含有量分析, <sup>14</sup>C年代測定結果に基づいて, 完新世における内湾の拡大過程および埋積過程を復元し, 当低地の形成過程を考察した。とくに内湾の埋積過程については, 各時代の海岸線背後における河道の位置を復元することを目的の一つとして復元を試みた。<br>北上川下流沖積低地は, 従来想定されていた南北に連なる一連の埋没谷の埋積により形成された低地ではなく, 海水準が-7mに達した7,500年前までは, 三つの個別の埋没谷を埋積する低地であったことが明らかとなった。7,500年前以降の海水準上昇に伴い, 内湾の拡大によって一つの連続する水域となった。本地域にあった内湾は, そのうち最大め流域面積をもつ北上川によって大部分が埋積され, 支流迫川は埋積にはほとんど関与していないことが明らかとなった。