- 著者
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姫野 秀一
菊池 隆一
内田 雄三
- 出版者
- The Japan Society of Coloproctology
- 雑誌
- 日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.1, pp.26-30, 1999-01
- 被引用文献数
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7
3
腺腫内に早期印環細胞癌を含む,大腸同時性4多発癌の1例を経験した.症例は60歳,女性.平成8年3月26日,他院にて横行結腸癌に対し横行結腸切除術(高分化型腺癌,stage II)を施行した.その10カ月後,同院にて全大腸精査を行ったところ,上行結腸に直径5cm大の腫瘤型腫瘍を認め,手術目的にて当院に紹介された.平成9年2月17日,右半結腸切除術を施行(stage II).切除標本には,(a)上行結腸中央部に腫瘤型病変,(b)上行結腸下端にIIa病変,および(c)結節集簇様病変,を認めた.各々の病理組織学的診断は,(a)中分化型腺癌,深達度ss,(b)tubular adenomaの一部に印環細胞癌を認める腺腫内癌,深達度m,(c)高分化型腺癌,深達度m,であった.本症例はきわめて稀な印環細胞癌の腺腫内癌を含む多発癌であり,発癌の機序を考えるうえでも非常に興味深いと考えられた.