著者
塚本
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.99-107, 1996-12-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

コロナウイルスは, 牛・豚・鶏・マウス・ヒト等の多くの動物種において, 呼吸器系, 消化器系, 生殖器系, 神経系などの様々な臓器で増殖し, 急性で致死的な疾病から慢性で持続的な疾病まで, 様々な病気を引き起こす。更に, 鶏・マウスでは持続感染と homologous recombination が報告されている。それだからなのか, コロナウイルスは株によって病原性が多様で, 抗原域も広い。特に鶏のコロナウイルスでは, 野外株に多くの血清型が存在し, ワクチンによるコントロールを難しくしている。このようにコロナウイルスは, ウイルス生物学の点でも, 伝染病制御の点でも, 興味深いウイルスであるにもかかわらず, 分子生物学的解析はその他の主な (+) 鎖RNAウイルスに比べ遅れている。その理由の1つとして, ウイルス遺伝子が27-32Kbと大きなために感染性cDNAが作られていないことがある。このため, コロナウイルスの分子生物学的研究は直接的証明よりも間接的証明が多く, 実験が複雑で, 解釈も慎重を要することが多い。この状況下で, 苦労を重ね, 工夫をこらしながら進められている, コロナウイルスのRNA合成機構に関する研究について, 最近3-年間4の成果を紹介したい。

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