著者
塚本 浩司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.291-296, 2007
参考文献数
8

マグカップでインスタントコーヒーを溶かしてかき混ぜるときに,ティースプーンとマグカップがぶつかり,音が生じる。この音は,インスタントコーヒーが完全に溶解するまでの間,音程が「くぐもった低い音」から徐々に甲高い音に変化する。周波数特性を行ってこの現象の原因を解明し,その過程を教材化した。この教材は,音波・音響や振動に入門する教材にもなりうるが,それ以上に,科学研究の手法を学び,物理学を身近に感じるために最適の教材となりうる。
著者
坂井 健太郎 田中 秀明 古原 千明 下村 有希子 杉山 友貴 吉水 秋子 松井 礼 井上 智博 上野 正克 塚本 竜生 東 治道
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.283-288, 2018 (Released:2018-04-28)
参考文献数
20

にがりは食塩を海水から精製する過程で得られるものであり, マグネシウム (Mg) やカルシウム (Ca) などのさまざまな電解質を含む. したがって過剰摂取は電解質異常を起こし得る. 今回われわれは, にがり大量飲用に起因する高Mg血症, 高Ca血症から心肺停止に至った症例を経験したので報告する. 症例は21歳の女性で, にがり1本を飲用し8時間後に当院へ救急搬入された. 搬入時には会話可能であったが, その後心肺停止に至った. 来院時の血液検査でMg, Caの異常高値が判明したため, 蘇生後直ちに血液透析を行った. 血中Mg, Ca濃度は透析開始後次第に低下していき, 第3病日までには正常化した. にがりの大量飲用では電解質をチェックし, 早期に血液透析を行うことが肝要である. また高Mg血症は心肺停止のみならず, さまざまな臓器の出血傾向を助長し得るため, 集学的な全身管理が非常に重要となってくる.
著者
池田 惇 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.2112-2122, 2010-11-15

近年,人間の動作とその背景に投影された映像を組み合わせて,演者の動作が映像に作用しているように見せるパフォーマンスが注目されている.しかし,演者は映像を背にしていたり,ステージ上を移動してさまざまな方向を向いていたりするため,つねに映像を確認しながら演技することはできず,映像と演者が直接掛け合いを行うようなインタラクティブなパフォーマンスを行うことが難しかった.そこで本研究では,装着型/非装着型の情報提示デバイスを用いて演者に映像情報を提示することの有効性を評価する.本研究では実際にインタラクティブパフォーマンスのための演者支援システムを構築し,提示デバイスや提示内容が演技に与える影響を評価した.結果から,提示デバイスによって,演技の自然さが変化することや,提示内容によって,演技動作の精度が変化することが確認された.また,装着型デバイスの使用が演者の演技に与える影響についても評価を行い,対応可能なパフォーマンスを確認した.
著者
黒木 真理 渡邊 俊 塚本 勝巳
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.21-031, (Released:2022-07-04)
参考文献数
61

Serious concern about the declining populations of the genus Anguilla and increasing related socioeconomic activities worldwide have led to a rise in the use of unauthorized Japanese names for members of this genus in various fields, as well as in academia. Therefore, it became important to clarify the standard Japanese names of all valid species and subspecies in the genus. Existing standard Japanese names for Anguilla species and subspecies were assessed, and new names proposed for some members, based on their geographical distribution and morphological characteristics, according to the nomenclature guidelines for standard Japanese fish names formulated by the Ichthyological Society of Japan in 2020. Standard Japanese names of three Japanese species and one subspecies were adopted from already-established names (Anguilla japonica, Nihonunagi; A. marmorata, Ō-unagi; A. bicolor pacifica, Nyūginia-unagi; A. luzonensis, Ugumaunagi); two Atlantic species were redefined (A. anguilla, Yōroppa-unagi; A. rostrata, Amerika-unagi); and the remaining eleven species and five subspecies were newly named (A. bicolor, Baikara-unagi; A. bicolor bicolor, Indo-baikara-unagi; A. dieffenbachii, Nyūjīrandoō-unagi; A. australis, Ōsutoraria-unagi; A. australis australis, Ōsutoraria-syōtofin-unagi; A. australis schmidtii, Nyūjīrando-syōtofin-unagi; A. reinhardtii, Ōsutoraria-rongufin-unagi; A. celebesensis, Serebesu-unagi; A. borneensis, Boruneo-unagi; A. interioris, Interia-unagi; A. megastoma, Porineshia-rongufin unagi; A. obscura, Porineshia-syōtofin-unagi; A. bengalensis, Bengaru-unagi; A. bengalensis bengalensis, Indo-bengaru-unagi; A. bengalensis labiata, Afurika-bengaru-unagi; A. mossambica, Mozanbīku-unagi).
著者
倉橋 真也 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.237-248, 2017-01-15

トイレの便器にセンサを組み込むことで,ユーザの生体情報を日常的に取得し,健康管理などに応用できるようになった.トイレは多くの場合,複数人が共用するため採取した生体情報をユーザごとに分類する必要があるが,カメラや音声,体重計による個人識別はプライバシの観点から適切ではない.タッチパネルなどの機器を設置して操作することでの個人識別も可能であるが,本来不要な操作であるため操作を忘れることもある.そこで本論文では,トイレで自然に行われる動作であるトイレットペーパの巻き取りの個人差に着目し,芯に角速度センサを設置したトイレットペーパの回転特性から個人を識別する手法を提案する.評価実験により提案システムの有効性を確認したところ,識別精度は実験室環境において5人から1人を識別する場合に83.9%,実環境において5人から1人を識別する場合に69.2%となった.さらに,提案手法を用いて,体調管理を推進するライフログアプリケーションと,トイレットペーパの使いすぎを抑止するアプリケーションを実装した.
著者
塚本 友栄 舟島 なをみ
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.22-35, 2008
被引用文献数
1

本研究は、就職後1年以内に退職した新人看護師の経験と、1年以上就業を継続できた新人看護師の経験の比較を通して、退職した新人看護師の経験の特徴を明らかにし、看護基礎および看護継続教育の課題を考察することを目的とする。本研究の第1段階は、看護概念創出法を適用し、半構造化面接法により退職者18名からデータを収集した。持続比較分析の結果、退職した新人看護師の経験を表す60カテゴリからなる15概念を創出した。第2段階も看護概念創出法を適用し、半構造化面接法により継続者20名からデータを収集した。持続比較分析の結果、就業を継続できた新人看護師の経験を表す53カテゴリからなる14概念を創出した。第3段階は、メタ統合を用いて、退職した新人看護師の経験を表す60カテゴリと就業を継続できた新人看護師の経験を表す53カテゴリを比較・統合した。その結果、退職した新人看護師の経験と就業を継続できた新人看護師の経験が、共通する経験、退職者のみに存在する経験、継続者のみに存在する経験の3つに分類できることを明らかにした。考察の結果は、早期退職防止に向けた看護基礎及び看護継続教育の課題として、看護専門職者としての自律的な態度の獲得、自己の客観視、自立した社会人としての責務の理解、問題を解決可能な具体的なレベルで捉えられる能力獲得のための支援が必要であることを示唆した。
著者
風早 康平 高橋 正明 安原 正也 西尾 嘉朗 稲村 明彦 森川 徳敏 佐藤 努 高橋 浩 北岡 豪一 大沢 信二 尾山 洋一 大和田 道子 塚本 斉 堀口 桂香 戸崎 裕貴 切田 司
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3-16, 2014-02-28 (Released:2014-05-28)
参考文献数
44
被引用文献数
13 20

近年のHi-netによる地震観測網により,我が国の沈み込み帯における地殻・マントル中の熱水流体の不均質分布による三次元地震波速度構造の異常や深部流体に関連する深部低周波地震の存在などが明らかになってきた。地球物理学的な観測結果に基づく岩石学的水循環モデルは,固体地球内部の水収支を定量化し,滞留時間の長い深層地下水中には検出可能な濃度でスラブ脱水起源の深部流体が流入していることを示す。また,内陸地震発生における深部流体の役割も,近年重要視されている。モデルは主に地球物理学的観測やシミュレーション等の結果に基づいたものであるため,地球化学的・地質学的な物質科学的証拠の蓄積はモデルの高度化にとって重要である。そこで,我々は西南日本の中国–四国–近畿地方において深層地下水の同位体化学的特徴の検討を行い,地下水系に混入する深部流体の広域分布について明らかにした。その結果,マグマ水と似た同位体組成をもつ深部流体,すなわち,スラブ起源深部流体のLi/Cl比(重量比)が0.001より高いことを示した。Li/Cl比は,天水起源の淡水で希釈されても大きく変化しないことが期待されるため,深部流体の指標に最適である。Li/Cl比の広域分布は,スラブ起源深部流体が断層・構造線および第四紀火山近傍で上昇していることを示した。また,深部低周波 (DLF) 地震が起きている地域の近傍に深部流体が上昇している場合が多く見られ,DLF地震と深部流体の関連性を示唆する。
著者
真喜屋 清 塚本 増久 堀尾 政博 黒田 嘉紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.203-209, 1988-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
5 7

福岡県遠賀郡岡垣町に在住の男性(55才)が, 鼻内異物感を伴う鼻出血と著しい鼻汁の分泌に悩まされた後, 昭和62年7月に右側鼻内から1匹のヒル(蛭)を取り出した. 病院受診時には鼻内所見で鼻中隔弯曲が見られた他は, 左右鼻腔内に潰瘍・糜爛や出血がなく, 耳内・口腔内にも異常は認められなかった. ホルマリン固定された虫体は, 黒褐色で体表には特定の模様がなく, 体長3.5cm, 最大体幅が1.2cmであった. また, 1)耳状突起がない, 2)5対の眼点は第3と第4眼点が1環節によって隔てられる, 3)額板には歯が認められない, などの特徴によって, ハナビルDinobdella feroxと同定された. このヒルは東南アジアに広く分布し, わが国でも人体寄生が知られているが, 九州では南九州からだけである. この患者は九州北部の温泉地で渓流水から感染したものと推察されるので, 温泉・秘湯ブームなどで渓谷にわけ入る風潮の盛んな昨今, 注意を払う必要がある.
著者
塚本 浩司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.584-586, 2020-09-05 (Released:2020-11-18)
参考文献数
28

歴史の小径運動の第2法則はいつから運動方程式となったか?――19世紀英国の物理教科書にみる力学概念の変遷
著者
奥埜 博之 西島 勇 塚本 哲朗 河島 則天
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11047, (Released:2016-04-06)
参考文献数
11

【目的】すくみ足(以下,FOG)はパーキンソン病の主要な運動障害のひとつである。FOG の適切な評価はきわめて重要であるが, その程度を客観的に示し得る有効な評価方法が存在しない。本研究ではFOG を簡便かつ定量的に評価できる方法を考案することを目的とした。【方法】16 名のパーキンソン病患者に対し,間口を自身の快適歩行速度で通り抜ける歩行課題を実施した。間口幅は40 cm から10 cm 刻みで100 cm までの7段階で設定し,間口通過の所要時間とステップ数を計測した。【結果】間口幅の減少に伴ってステップ数が増加,所要時間が遅延する傾向が認められ,その関係性は一次直線回帰によって近似可能であった。また,UPDRS スコアのPart Ⅲとの関連は,所要時間との間に有意な相関(r = 0.56, p < 0.05)がみられた。【結論】今回提案した方法は,歩行時間とステップ数という簡便な計測変数であり,歩行評価に即時活用できるものと考えられる。
著者
田尻 康樹 鈴木 晋也 塚本 佳孝 神谷 祐二
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-8, 2007-04-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

慢性疲労症候群とは, 健康に生活していた人が, 突然の激しい全身倦怠感に襲われ, 長期にわたる微熱と, 強い倦怠感, 脱力感, 頭痛, 思考力の障害, 精神神経障害などが続き, 健全な社会生活が送れなくなる疾患である. 今回われわれは, 慢性疲労症候群の抜歯症例を経験した.16歳女性. 左側下顎大臼歯部の疼痛を主訴に来科. 口腔清掃状態は, 非常に不良で齲蝕が多く, 左側下顎第二大臼歯歯肉に腫脹を認め慢性根尖性歯周炎に起因する歯槽膿瘍と診断した. 消炎後, 感染根管処置を予定するも, 全身倦怠感による未来院が続いたため, 保存的処置を断念し, 入院管理下で抜歯した.慢性疲労症候群の患者は, 全身倦怠感のため通院が非常に困難であり治療時間も短時間に限られる. 治療方針を立案するにする際には, 常に治療回数を最小限に行うことを念頭に置くべきであり, 患者に与えるストレスが過大と予想される場合には入院下治療も考慮すべきと考えられた.
著者
伊藤 悠真 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2165-2176, 2015-11-15

暗記学習の一般的な手法の1つとして替え歌を用いる手法がある.これまでにさまざまな暗記学習システムが開発されているが,暗記用替え歌の一般的な生成手法や自動で生成するシステムは筆者らの知る限り確立されていない.よって本研究では暗記学習のための替え歌自動生成システムの構築を目的とする.提案システムは,替え歌の元となる楽曲を保持しており,学習者が入力した暗記したい項目が,いくつかの曲の歌詞に割り当てられて替え歌として出力される.本研究では暗記したい項目を歌詞に割り当てる割当てアルゴリズムを提案する.これにより,提案システムは暗記に適した替え歌を生成できる.評価実験の結果,提案システムにより生成された替え歌は丸暗記に比べて効果があることが示唆された.
著者
塚本 浩司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.291-296, 2007-12-14 (Released:2017-02-10)
参考文献数
8

マグカップでインスタントコーヒーを溶かしてかき混ぜるときに,ティースプーンとマグカップがぶつかり,音が生じる。この音は,インスタントコーヒーが完全に溶解するまでの間,音程が「くぐもった低い音」から徐々に甲高い音に変化する。周波数特性を行ってこの現象の原因を解明し,その過程を教材化した。この教材は,音波・音響や振動に入門する教材にもなりうるが,それ以上に,科学研究の手法を学び,物理学を身近に感じるために最適の教材となりうる。

16 0 0 0 OA 国訳密教 : 経軌

著者
塚本賢暁 編
出版者
国訳密教刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1, 1923
著者
江口 康之 塚本 喜久雄 池澤 宏郎
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.146-152, 1998-11-30 (Released:2017-12-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

To investigate antibacterial action of fermented milk against food-poisoning bacteria, overnight culture of Salmonella serotype Enteritidis NIHJ G14 (SE), Salmonella serotype Typhimurium LT2 (ST) and clinically isolated Vibrio parahaemolyticus V17 (VP) cells were incubated at 37℃ with a liquefied yoghurt product and survival of the cells were monitored by CFU assay. Viable SE cells in the product dramatically dereased by 2 logs after 2 h incubation and could not be detected at 4 h incubation. The product also showed bactericidal effect against ST cells. Decline rate of the cells was faster than that of SE. Bactericidal effect of fermented milk against VP was further remarkable because the viable VP cells could not be detected within 5 min. These bactericidal activities were not affected when lactic acid bacteria in the product were completely inactivated by heating or removed by membrane filtration. On the other hand, SE, ST or VP cells in neutralized samples slightly grew in the early stage of incubation, then reversed themselves to decline rapidly by production of organic acids including lactic acid by lactic acid bacteria in the product. The skim milk solution whose pH was adjusted at 4.0 by lactic acid, also exhibited bactericidal activities against these bacteria. However, this phenomenon was not obvious when pH of the skim milk solution was adjusted by hydrochloric acid instead of lactic acid. These results suggest that free form of lactic acid molecule is a major factor of the potent bactericidal activity and affects viability of the cells. This molecule must permeate into bacterial cells through cell membrane and perturb cellular pH to become acidic. Furthermore, the fermented milk samples represented a marked zone of inhibition against Staphylococcus aureus by an agar-diffusion method. Taken together, the fermented milk must exhibit bactericidal activity against broad spectrum of bacteria.

14 0 0 0 OA 荀子

著者
塚本哲三 編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
1922