著者
遠山 良 種谷 真一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.223-231, 1998-04-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

単軸エクストルーダにより製造した冷麺(水分含量40%前後)に対する加熱殺菌処理(85℃40分程度)の効果について,でんぷんと小麦粉を4:6の割合で混合した原料粉により冷麺を試作して検討し,以下の結果を得た.<BR>1) 加熱殺菌処理は,バレイショでんぷん,サツマイモでんぷん,キャッサバでんぷんのいわゆる根茎由来のでんぷんを使用した麺の茹溶出量を低下させたが,トウモロコシでんぷんでは殆ど変化は見られなかった.<BR>2)多重バイト法により加熱殺菌処理が茹麺のテクスチャーに及ぼす影響を調べた結果,バレイショでんぷんを使用した麺では,加熱殺菌処理によりテンダネス,プラィアビリティ,タフネスは少し増加し,ブリットルネスは僅かに低下した.これに対して,他の3種(サツマイモ,キャッサバ,トウモロコシ)のでんぷんを使用した麺では,キャッサバでんぷんのタフネスが低下したことを除き大きな変化は見られなかった.<BR>3) 加熱殺菌処理前のX線回折像は結晶性を持たないV図形を示すのに対し,加熱殺菌処理直後のX線回折図形には,既に僅かながら結晶性の存在を示すピークが現れていた.また,5日間以上冷蔵した試料には3b,4a,5a,6a環が出現し,加熱殺菌処理前と加熱殺菌処理後では殆ど差は認められなかった.<BR>4) 製造直後の加熱殺菌処理前試料のうち,バレイショでんぷんを使用した麺とキャッサバでんぷんを使用した麺では最初から粘度が高く糊化状態であり,再糊化のピークは観察されなかったが,加熱殺菌処理により,再糊化のピークが出現した.冷蔵10日目試料では,いずれのでんぷんを使用した場合にも再糊化のピークが観察された.加熱殺菌処理により,粘度上昇開始温度や最高粘度時の温度が上昇したが,その効果はそれぞれバレイショでんぷん,サッマイモでんぷんで大きく,キャッサバでんぷん,トウモロコシでんぷんを使用した麺で小さかった.<BR>5) 以上のように,麺の加熱殺菌処理によりでんぷんを湿熱処理した場合に見られるアニーリングと類似した現象が観察された.この効果は特にバレイショでんぷんを使用した場合顕著であり,麺の茹溶出量を減少させるなどの物性改良効果があるものと考えられた.

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