著者
野坂 千秋 星川 恵里 足立 和隆 渡邊 乾二
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.857-863, 2000-11-15
被引用文献数
2

「ジャガイモの裏ごし操作」における経験の異なる熟練者と非熟練者の違いを明らかにすることを目的として,運動解析法を用い実験を行った.さらにこの解析によって得られたヘラが裏ごし器を押し付ける力,そしてヘラの角度と裏ごしされたジャガイモの性状との関連を観察した.<br>(1) 熟練者の裏ごしは,力の各成分の最大値・力積が非熟練者に比べ有意に小さく,かつヘラの押し付け時の角度も10°以下のこすりつけ状態をとらない操作であることが明らかとなった.一方,非熟練者の動作は,力の各成分の最大値・力積が熟練者と比較して有意に大きく,かつヘラの押し付け時の角度が小さく,こすりつけ状態の長い操作であることが明らかとなった.<br>(2) 裏ごしされたジャガイモの性状を比較すると,非熟練者のジャガイモ細胞の状態は,熟練者のものに比べ細胞外へ流れ出た澱粉が多く,細胞の損傷が観察された.このことから,裏ごし時の力のかけ方やヘラ角度の状態がジャガイモの細胞壁の損傷に影響することが示唆された.

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