- 著者
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小田 秀也
渕上 忠彦
平川 雅彦
堺 勇二
八尾 恒良
- 出版者
- The Japan Society of Coloproctology
- 雑誌
- 日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.7, pp.554-566, 1996-08
- 被引用文献数
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21
4
当院で虚血性大腸炎と診断した130例を対象に, 狭窄型や再発例を中心に臨床的分析を行った. 発症年齢は平均59.3歳で, 男性は62.0歳, 女性は56.0歳と女性の方が若く, 男女比は45 : 85と女性に多かった. 病型は一過性型は109例, 狭窄型は9例, 不明12例であった. 狭窄型では白血球数, 赤沈値, CRPの炎症所見が一過性型に比し有意に増加し, またその正常化までの期間も遅延していた. 内視鏡所見では狭窄型は縦走潰瘍を有し, 全周性炎症を伴ったものが多く, 治癒までの期間は有意に延長していた. 狭窄型のうち経過観察した5例の狭窄は徐々に改善した. 再発の有無は面接とアンケート調査で115例について調査できた. 再発例は検査にて確認されたもの8例, アンケート回答5例の計13例にみられた.累積再発率は1年後3.8%, 2年後8.5%, 5年後12.1%であった. 再発例は非再発例に比べ, 基礎疾患をもつものが多く, 4例は狭窄型となり, 同部位再発が多かった.