著者
鈴木 達雄
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.61-69, 1999-07-15
被引用文献数
2

人類は急増する人口を支える食糧を得るため、農地を拡大し、家畜を飼うために森林を伐採し続けてきた。地球上の大型動物の多くは、人類が改良した家畜で占められ、陸上の生態系は、人類の都合のいいように作られてきた。しかし、世界の食糧供給は、需要の急激な増加に追い付けない状態になっている。その一方で、科学技術の発展に伴い、膨大な化石エネルギーと資源を消費して、大量の製品と廃棄物を生産し、その廃棄物で生物生産にとって重要な浅海域を埋め立て、有害物で地球環境を汚染してきた。そして、現在の科学技術でも達成不可能な高効率で、太陽エネルギーを光合成に利用する植物や植物プランクトンの働きを阻害することが、自殺行為であることに気付き始めた。我々が資源の利用方法、排出する廃棄物の利用、および処理方法を、正しく管理するように意識を変えないと、人類を含めた生物の存続が、脅かされることになる。可能な限り我々が生産する製品や廃棄物が、生物の行う物質循環を損なわないようにするのは勿論、智恵を働かせて、この物質循環を人類を含む生物にとって、持続可能な方向に変えてゆく努力が必要である。産業副産物と自然の力を巧みに利用して物質循環を円滑化し、食糧を増産する試みが行われている。

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