- 著者
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原 恵子
- 出版者
- Japanese Association of Communication Disorders
- 雑誌
- 聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.10-18, 2001-04-30
- 被引用文献数
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11
日本語の読み習得の初期段階での音韻意識(phonological awareness)の発達の様相と,それが読み習得とどのように関連するのかを検討するために,健常就学前児123人(年中,年長児),小学生98人(小1~小3)を対象に,音削除(deletion),単語逆唱(reversal),母音同定の音韻操作課題と平仮名短文の読解課題を行った.その結果,就学前の1年間に,3拍語の音削除,逆唱課題をこなす音韻操作能力が整ってくること,小学校入学後,全員が学校での平仮名指導を受けた後には,4拍語の逆唱,6拍語の音削除,CV音節中の母音同定が可能になることが明らかになった.各課題間の相関を検討すると,音削除,逆唱の能力と平仮名短文の読解との間に高い相関が認められた.今回用いられた音韻操作課題に示される音韻意識がどのように読み習得の発達を支えるのか考察で論じた.