著者
吉田 豊彦
出版者
色材
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.313-318, 2002-07-20
参考文献数
4
被引用文献数
1

この報文の目的は1) 塗膜の暴露または促進試験による経時変化を整理して, 2) 定量的な考察が容易な数学的モデルで表現することである。<BR>常乾アルキド樹脂エナメル8試料をサンシャイン促進耐候試験機とキセノン促進耐候試験機で1000時間まで試験した。変色は試験片と原片との色差をCIE94色差であらわした。<BR>時間と色差の関係にはつぎの2つの式がよくフィットし, 高い決定係数を示した。<BR>△E=p&radic;t+q, △E=△Ef (1-e-<SUP>kt</SUP>) ここに△Efは仮定の色差上限値である。<BR>前者の式は劣化の初期によくフィットし, 変色の機構に拡散が支配することを示唆する点で興味があるが, 長期の暴露によって最大色差に収れんしない。後者の式は1次反応機構の仮定によって容易に誘導できるので, (1) 式より優っている。<BR>回帰方程式の係数から, キセノンの誘導期がサンシャインのそれよりも短いことを示した。また, サンシャインとキセノンの間の促進の比, すなわち, 同じ色差に相当する時間の比は一定ではなく, 色差のレベルによって変化することを示した。

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