著者
広瀬 誠一
出版者
色材
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.378-380, 1960

原田淑人博士によると, 漢字の「消」には, 古代のシナでは, 物質を「水で処理する」という意味があった。国語の「けす」には, 「薄 (ハク) を消す」や「消粉 (ケシフン) 」の実例が示すように金属薄を「すりつぶして粉末状にする」という意味があった。「泥 (デイ) を消す」というのは江戸時代の文献によると「薄を消すごとによって泥を作る」という意味である。「泥を塗る」ことだとする広辞苑の, 日葡辞書を引用しての解釈はちと疑わしい。
著者
田辺 弘往 篠原 稔雄
出版者
色材
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.469-473, 1981
被引用文献数
4 1

3wt%塩化ナトリウム水溶液中での塗装鋼板の電位, 分極抵抗に及ぼす溶存酸素の影響を検討した。中性環境下で塗装鋼板が使用されることは多いが, その腐食挙動を電気化学的方法により検討することは困難とされることが多い。その理由は塗膜の高抵抗が測定を妨害するからとされている。筆者らはすでに, 高抵抗塗膜塗装鋼板の分極挙動を, カレントインタラプター法の適用によって測定することを可能にした。<BR>本研究では, これまで溶存酸素の塗装鋼板の腐食挙動におよぼす影響に関して検討されることが少なかったことに着目した。具体的には電位測定と分極低抗の測定によって溶存酸素の影響を明らかにすると共に, 本実験により塗装鋼板を試験液に浸セキした状態での溶存酸素の透過性測定の可能性を明らかにした。
著者
吉田 豊彦
出版者
色材
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.313-318, 2002-07-20
参考文献数
4
被引用文献数
1

この報文の目的は1) 塗膜の暴露または促進試験による経時変化を整理して, 2) 定量的な考察が容易な数学的モデルで表現することである。<BR>常乾アルキド樹脂エナメル8試料をサンシャイン促進耐候試験機とキセノン促進耐候試験機で1000時間まで試験した。変色は試験片と原片との色差をCIE94色差であらわした。<BR>時間と色差の関係にはつぎの2つの式がよくフィットし, 高い決定係数を示した。<BR>△E=p&radic;t+q, △E=△Ef (1-e-<SUP>kt</SUP>) ここに△Efは仮定の色差上限値である。<BR>前者の式は劣化の初期によくフィットし, 変色の機構に拡散が支配することを示唆する点で興味があるが, 長期の暴露によって最大色差に収れんしない。後者の式は1次反応機構の仮定によって容易に誘導できるので, (1) 式より優っている。<BR>回帰方程式の係数から, キセノンの誘導期がサンシャインのそれよりも短いことを示した。また, サンシャインとキセノンの間の促進の比, すなわち, 同じ色差に相当する時間の比は一定ではなく, 色差のレベルによって変化することを示した。