著者
石井 吉徳
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.193-199, 2005-03-30
参考文献数
1
被引用文献数
2

<p> 昨年 (2004年) 9月9日 東京プレスセンターで日本原子力学会再処理リサイクル部会主催の講演会を開催した。前半の講演者米国原子力学会のベネデクト博士が「米国は燃料リサイクル (再処理) の研究開発を本格化すること, さらに輸送に使われる石油 (ガソリン) の1/4を原子力でまかなう計画である」と述べた。米国の方針転換の背景には, 安くて豊かな石油時代が終わることをきちんと認識しているからであろう。後半の石井吉徳氏の講演を同時通訳のイヤホンを耳に当て, しきりにうなづいていた。</p><p> その貴重な講演を文章にしていただいた。</p><p> 「40年前も, 石油資源はあと40年しか持たないといったではないか」, 「国際機関IEAでは, まだまだ大丈夫といっているではないか」, 「メタンハイドレードなど代替資源もあるではないか」との疑問にも適切に答えていただいた。</p><p> 車社会米国では石油の7割以上が輸送に使われている。日本でも石油の4割以上が輸送に使われている。車社会からわれわれはどのように脱皮していくのか。便利なガソリンの代替をどうするのか。現在の農業も大型機械や肥料など石油が支えている。天然ガスも10から20年遅れてピークを迎える。天然ガスは発電の1/3を占める。この影響も大きい。</p><p> リサイクルも熱力学から見れば, 流れが逆であり, その分エネルギーが要る。今の社会は, 安くて豊富な石油で成り立っている。われわれの生活にどのような影響があるか。どのような対策, 研究が必要か。みんなが考える問題である。本稿は皆様に考える原点を与えてくれるものと信じる。</p><p> 石油減耗への対策は, まだ世界的に解が得られていない。このような挑戦的な問題こそ, 大学, 研究機関が競って, 研究すべき課題である。</p>

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