著者
柿内 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.537-541, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

環境中には天然起源のトリチウムと人為起源のトリチウムが存在する。まずトリチウムの基礎的な知見を整理するとともに人為起源のこれまでのトリチウムについて概観する。またトリチウムは水素の同位体であるため,環境中に広く分布している。この環境中のトリチウムを分析するための手法について現状を紹介する。
著者
小川 順子 森 伸介 鈴木 正昭
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2004年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.5, 2004 (Released:2004-11-19)

一般人に原子力発電の理解を求めるために、しばしば原子力発電のリスクが様々な「生活行為のリスク」と比較される。「生活行為のリスク」は、1979年米国ピッツバーグ大学Cohenによって計算された「様々なリスクの比較表」に載っている値が一般によく使われており、原子力の広報にも役立ってきた。しかしながら、これらは25年前のしかも米国のデータで計算されたリスクである。そこで我々は、現代日本の状況に合った日本におけるリスク表に改訂することを目的に、「ガン」、「心臓病」、「自動車事故」、「火事」、「脳卒中」、「肺炎/インフルエンザ」、「エイズ」、「独身(男性)」、「独身(女性)」「喫煙」、「肥満」、「飲酒」、「自殺」、「殺人」、「航空機墜落事故」、「原子力産業」、「自然放射線」、「地層処分」、「大気汚染」、「屋内煙検知器」、「エアバッグ」の21項目のリスクについて損失寿命を算出した。
著者
小林 健介 堀井 英雄 石神 努 千葉 猛美
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.56-65, 1985-01-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

A sensitivity analysis of thermal hydraulic response in containment during a 'station blackout' (the loss of all AC power) accident at Browns Ferry unit one plant was performed with the computer code MARCH 1.0. In the analysis, the plant station batteries were assumed to be available for 4h after the initiation of the accident. The thermal hydraulic response in the containment was calculated by varying several input data for MARCH 1.0 independently and the deviation among calculated results were investigated.The sensitivity analysis showed that (a) the containment would fail due to the overtemperature without any operator actions for plant recovery, which would be strongly dependent on the model of the debris-concrete interaction and the input parameters for specifying the containment failure modes in MARCH 1.0, (b) a core melting temperature and an amount of water left in a primary system at the end of the meltdown were identified as important parameters which influenced the time of the containment failure, and (c) experimental works regarding the parameters mentioned above could be recommended.
著者
吉田 正
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.555-558, 2011 (Released:2019-09-06)
参考文献数
7

福島第一発電所の冷温停止に向けての課題は崩壊熱との闘いにつきるといえよう。崩壊熱は,核分裂で生じた核分裂生成物のβ崩壊に伴うFP崩壊熱と,核燃料であるウランより重いアクチニド核種のα崩壊またはβ崩壊に伴い発生するアクチニド崩壊熱に大別される。崩壊熱の計算にはいくつかの方法があり,かつその信頼性も高い。計算に当たっては,その方法を吟味し,停止後の原子炉の状況を見極めた評価・計算を行う必要がある。
著者
波多野 雄治
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.713-717, 2021 (Released:2021-10-10)
参考文献数
20

軽水炉,重水炉,核融合炉におけるトリチウム発生機構,トリチウム取扱量および放出量,トリチウム分離の原理や福島第一原子力発電所処理水へ適用する際の問題点について解説した。トリチウムについて考える際には定量的な議論が不可欠であることから,できるだけ具体的な数値を示した。数値を比較しながら読んでいただけると幸いである。
著者
古野 朗子 茅野 政道 山澤 弘実
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.229-240, 2006-09-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

This paper describes a method of estimating source term, i.e., location, period and amount of atmospheric release of radioactive material in real-time during nuclear emergency. This method consists of: (1) trial simulations of atmospheric dispersions on the possible combinations of these parameters and (2) statistical comparison of model predictions with offsite measurements of air concentrations of radionuclides and/or air dose rates from monitoring stations, to find a set of release condition providing model prediction that fits best to the measurement. A parallel execution method for efficiently processing many possible initial conditions is also developed. The performance of this method is favorably evaluated by a verification study using the dataset from European Tracer Experiment.
著者
若林 二郎 森 寿久 住田 侑 石井 一典 川太 徳夫 飯島 隆
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.913-923, 1986-10-30 (Released:2010-01-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

原子力発電所の運転形態を従来の基底負荷運転から負荷追従運転も含んだ形に拡大していく必要が高まりつつある。電力系統の負荷は季節変化,日変化,さらにより小さな時間スケールの変動成分よりなる複雑な変化を示し,それに対応して原子力発電所を運転するには新しい制御方策の導入と複数種の制御手段の有機的な統合利用が必要となる。本稿では,現在盛んに開発が進められているこの種技術の実情について、BWR,PWR,ATRの各炉型ごとに要約して紹介する
著者
岡本 孝司
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-31, 2012 (Released:2019-09-06)
参考文献数
5

原子力発電所の安全を担保する思想は深層防護である。東日本大震災による発電所への影響を深層防護に従い検討を行うと,いかなる場合においても,電源を供給できるようにすることが必須であることが見えてくる。全交流電源喪失,全交流電源系統喪失,全電源喪失など,発生確率とリスクに応じて,電源に対する対策を考えていくことが重要である。わずかな電源容量であっても,ある程度の時間は稼ぐことができる。事象を整理し,俯瞰的に評価することで,プラント全体のリスクを低減していくことが重要である。