著者
永野 伸一
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌/ 日本頭頸部癌学会 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.475-479, 2004-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

日本人の長い歴史性・文化性を無視し欧米から輸入された医療上の進言, 特に告知におけるマスメディア挙げての一つの図式的な世論誘導に, 医療の現場では混乱を起こしていると思う。インフォームド・コンセントを尊重するという事は, 患者さんが「死にたい」と発した時, 我々は患者さんを殺さなければならなくなる。しかしその患者さんの言葉は「本音」ではなく医師にもっと心配して欲しいという意思表示であり, 日本人特有の甘えによる屈折した表現なのである。その様な言葉を使う日本人の背景には仏教・神道を始めとする独特の宗教観があり, それは欧米のキリスト教圏の民族とは理解しえない面がある。マスコミの主導する医療上の進言は全て個人主義を目指したキリスト教圏の出来事であるが, 家族主義的ムラ社会を構築してきた日本民族は個人の確立を求めていない。死の淵に立った時, 求めるのはむしろ他者との関係であると私は考える。

言及状況

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うちのBBAがいかに強いかっていうことよりこの「本人告知」がなぜなされてこなかったか、っていうのが医療人類学とか生命倫理領域でちょいちょい出てくる話なんですけれども、家族による一種のパターナリズムじゃないかと思いつつも特に詰めなかったオレ。 https://t.co/if4nvh6JIe

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編集者: タバコはマーダー
2020-12-21 08:12:06 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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