- 著者
-
津熊 秀明
井岡 亜希子
大島 明
味木 和喜子
- 出版者
- 日本頭頸部癌学会
- 雑誌
- 頭頸部癌 (ISSN:13495747)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.3, pp.292-299, 2006-10-25 (Released:2008-04-30)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
4
5
2000年の全国全がん罹患数は男31.0万人,女22.2万人であった。口唇・口腔・咽頭,喉頭,甲状腺の各がん罹患数は,順に男で6,650人,3,250人,1,642人,女で2,825人,209人,6,246人であった。大阪府がん登録に基づき,頭頸部の詳細部位別罹患動向を調べた(1965-99年の5年毎の年平均および2002年)。口唇・口腔・咽頭の罹患数は,この間に男で93人から500人,女で41人から187人に増加した。男の下咽頭,中咽頭の増加が顕著であった。喉頭では罹患数が男で106人から1995-99年に197人に増加したが,その後は減少に転じた。女では26人から16人へと減少した。鼻腔・中耳・副鼻腔は男68人から59人,女45人から22人へと減少した。日本6府県市がん登録,米国白人,黒人,日系人の男女8集団において,口腔・中下咽頭がんと喉頭がん罹患率に,また,前者と食道がん罹患率に,それぞれ強い正相関を認めた。頭頸部癌の危険因子として,食道がんと同様,喫煙と飲酒習慣が重要である。