著者
横川 浩治 中井 克樹 藤田 建太郎
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.145-155, 2005-06-20
参考文献数
46

北米原産のオオクチバス<I>Micropterus salmoides</I>が沿岸域で優占していた琵琶湖に, 近年, 近縁種のフロリダバス<I>M. floridanus</I>の侵入が確認された。琵琶湖沿岸の4地域から2000~2003年に得られた合計194個体のアイソザイムを調べた。オオクチバスとフロリダバスは<I>AAT-1</I>, <I>IDHP-1</I>, <I>MDH-1</I>, <I>SOD</I>の4遺伝子座において識別されるが, 調べたすべての標本群のこれら遺伝子座においてフロリダバスを特徴づける遺伝子が頻繁に出現し, 概略, 全体の半分がフロリダバスの遺伝子で占められていた。すべての標本群においてHardy-Weinbergの遺伝平衡からのずれは認められず, 大部分はヘテロ過剰傾向を示した。マーカー座における個体ごとの遺伝子型から判断して, 雑種F<SUB>2</SUB>以降あるいは戻し交雑個体が大半であると推定され, 琵琶湖内ではオオクチバスとフロリダバスの交雑が既にかなり進行していることが示唆された。以上の結果は, 従来生息していたオオクチバスに匹敵する数量のフロリダバスが琵琶湖に侵入したことを示し, 人為的な大規模放流があったものと推定される。

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