著者
馬渕 浩司 瀬能 宏 武島 弘彦 中井 克樹 西田 睦
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-12, 2010 (Released:2014-03-05)
参考文献数
22

A recent mitochondrial (mt) DNA survey revealed that the native Japanese population of the common carp has been endangered by the introduction of non-native domesticated strains: more than half of the haplotypes detected so far in Japanese waters originated from Eurasian strains. In expectation that Lake Biwa, the largest freshwater body in Japan, contains a relatively pure native population, we conducted a survey of mtDNA haplotypes in the lake, collecting 856 common carp from 40 localities in the lake. Of these, 606 specimens were caught by various nets (gill net, set net, net trap, etc.) used at depths from 1 to 5 m, 148 specimens were caught by a trawl net used at depths from 30-70 m, and 102 specimens that had washed ashore during mass mortality caused by Koi herpes virus (KHV) in 2004 were collected by hand. For each of the specimens, the mitochondria- encoded cytochrome b gene was genotyped (Japanese native or non-native haplotypes) by PCR using allele-specific primers. Analysis of haplotype frequencies showed that the native Japanese haplotype was significantly more frequent in deep off-shore waters and waters along the steep northern coast of the North Basin (about 80% on average), than in shallow coastal waters in the South Basin and waters along the eastern coast of the North Basin (less than 50% on average). These results indicate that the deep waters of the lake may contain a relatively pure native population that is of prime importance for conserving the native Japanese common carp. Among the results, it is notable that more than 90% of the KHV-killed specimens had native Japanese haplotypes.
著者
土岐 範彦 大杉 奉功 中沢 重一 鎌田 健太郎 熊澤 一正 浅見 和弘 中井 克樹
出版者
Ecology and Civil Engineering Society
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.37-50, 2013
被引用文献数
1

福島県阿武隈川水系三春ダムの蛇石川前貯水池は,水質保全を目的として設置した前貯水池の一つであり,2006 年にはオオクチバスが優占していた.2006 年 10 月に水質保全の試験のため,前貯水池内の水を抜き,湖底を 2 ヶ月間干し上げた.その際,魚類の全量捕獲を行い,捕獲したオオクチバスは駆除し,在来魚等は再放流した.魚類の捕獲は前貯水池内で 2 箇所,前貯水池堤体下流で 1 箇所の計 3 箇所で行ったが,捕獲状況からオオクチバスは貯水池内に広く生息している傾向が示唆された.一方,ギンブナの小型個体は貯水池堤体近くの深いところに集まっている傾向がみられた.また,ギンブナとコイの大型個体はダム流入部付近の水深 2 m 以浅に生息している傾向がみられた.水抜きの 2 年後にはオオクチバスの個体数割合は 2006 年と同等になった.これは,流路沿い等に取り切れなかった個体が存在した可能性等が考えられる.他の事例同様,複数回の水抜きを行わないと完全駆除は困難と考えられた.
著者
土岐 範彦 大杉 奉功 中沢 重一 鎌田 健太郎 熊澤 一正 浅見 和弘 中井 克樹
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.37-50, 2013-09-30 (Released:2013-11-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

福島県阿武隈川水系三春ダムの蛇石川前貯水池は,水質保全を目的として設置した前貯水池の一つであり,2006 年にはオオクチバスが優占していた.2006 年 10 月に水質保全の試験のため,前貯水池内の水を抜き,湖底を 2 ヶ月間干し上げた.その際,魚類の全量捕獲を行い,捕獲したオオクチバスは駆除し,在来魚等は再放流した.魚類の捕獲は前貯水池内で 2 箇所,前貯水池堤体下流で 1 箇所の計 3 箇所で行ったが,捕獲状況からオオクチバスは貯水池内に広く生息している傾向が示唆された.一方,ギンブナの小型個体は貯水池堤体近くの深いところに集まっている傾向がみられた.また,ギンブナとコイの大型個体はダム流入部付近の水深 2 m 以浅に生息している傾向がみられた.水抜きの 2 年後にはオオクチバスの個体数割合は 2006 年と同等になった.これは,流路沿い等に取り切れなかった個体が存在した可能性等が考えられる.他の事例同様,複数回の水抜きを行わないと完全駆除は困難と考えられた.
著者
熊澤 一正 大杉 奉功 西田 守一 浅見 和弘 鎌田 健太郎 沖津 二朗 中井 克樹 五十嵐 崇博 船橋 昇治 岩見 洋一 中沢 重一
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.171-185, 2012 (Released:2013-04-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

福島県阿武隈川水系三春ダムの蛇沢川前貯水池において,岸に平行して定置網を設置し,人為的に水位低下させることで魚類を網内に集結させて魚類を捕獲した.フィールドとした三春ダムは制限水位方式のダムであり,非洪水期 (10 月 11 日 ~ 6 月 10 日) から洪水期 (6 月 11 日 ~ 10 月 10 日) にかけて,貯水位を 8 m 低下させる運用をしている.捕獲試験は,2007 年 ~ 2011 年に実施した.捕獲した魚類のうち,外来魚のオオクチバスとブルーギルは回収し,それ以外の在来魚等は再放流した.オオクチバスの大型個体は,前貯水池と本貯水池の連結部 (幅 5 m) で多く捕獲でき,これは繁殖のために遊泳している個体と考えられた.一方,ブルーギルはこの時期は遊泳せず,浅い場所に集まっていた.水位低下を利用した定置網での捕獲の結果,オオクチバスと 2 歳魚以上のブルーギルは年々減少し,ギンブナをはじめとする在来魚等は増加傾向であった.在来魚等の若い個体が継続的に生産・維持されることが水域の魚類群集のバランスを保つ上で重要である.蛇沢川前貯水池では,2010 年以降,貯水池内で繁殖したギンブナ,コイの若い個体が顕著に増加しており,捕獲による駆除の効果と考えられる.
著者
佐藤 千夏 向井 貴彦 淀 太我 佐久間 徹 中井 克樹
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.225-230, 2007-11-26 (Released:2011-12-02)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The geographical distribution of mtDNA haplotypes of non-indigenous smallmouth bass (Micropterus dolomieu) populations in Japan were examined utilizing nucleotide sequences of the mtDNA control region from 208 individuals collected from 20 localities. A total of three haplotypes (n, o and p), distinguished by a nucleotide substitution or an insertion/deletion of 294bp, were found in Japanese freshwater systems. In eastern Japan, most M. dolomieu populations had two haplotypes (n and p), the frequencies being similar among localities. On the other hand, haplotype n or p was fixed (or nearly fixed) in lakes and ponds in western Japan. These results suggested that the non-indigenous populations of smallmouth bass in Japan were initially established by an introduction into eastern Japan, the western Japanese populations being subsequently founded by relatively small num-bers of individuals.
著者
中尾 博行 川端 健人 藤田 建太郎 中井 克樹 沢田 裕一
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.167-173, 2006-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Predation of eggs and larvae of bluegill (Lepomis macrochirus), by snails (Semisulcospira spp.and Sinotaia quadrata histrica) were examined during the bluegill reproductive period (July and August) in 2003 and 2005. At a littoral study site in the northern basin of Lake Biwa, population densities of snails were significantly higher in bluegill nests than in their surroundings, indicating deliberate aggregation of the former. Laboratory experiments to assess the degree of predation on bluegill eggs and larvae by snails showed a significant decrease in egg and larval numbers when established in aquaria together with Semisulcospira spp., and Sinotaia quadrata histrica, respectively. During experimentation, predatory behavior by snails was also directly observed, indicating that snails aggregating in bluegill nests probably predate eggs and larvae despite parental care of the latter.
著者
中井 克樹
出版者
日本陸水學會
雑誌
陸水學雜誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.277-280, 2009-12-20
被引用文献数
2 1

外来生物による生態系等への影響が顕在化するなか、2005年に「外来生物法」(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)が施行され、わが国においても外来生物に対する国レベルの方向性が示された。湖沼や河川など陸水学が主たるフィールドとする陸水域は、陸上域における島嶼とともに、外来生物による生態系への影響・被害を受けやすいことが経験的に知られており、外来生物法の規制対象となる「特定外来生物」にも、陸水域を生息・生育環境とする動植物が多く含まれている。この意味で、2008年10月に北海道大学で開催された日本陸水学会第73回大会において、外来生物問題をテーマとした公開シンポジウムが開催されたことは、非常に意義深いことである。このシンポジウムに先立ち、2006年度の日本生態学会大会第54回大会(2007年3月・愛媛大学)で自由集会「淡水産外来無脊椎動物の侵入実態と防除に向けた課題」が開催された。そこでの発表の多くは、陸水学会誌68巻3号に掲載され、陸水域における外来生物問題に関して、具体的な事例の紹介とともに、今後の課題に関しても言及されている。ここでは、こうした言及をふまえながら、陸水域における外来生物問題の課題について指摘したい。
著者
中井 克樹
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.171-180, 2000-01-15
参考文献数
26
被引用文献数
3

わが国で問題とされている外来生物のなかで,全国的規模で野生化しその状況を歓迎する人々が数多く存在する点で,ブラックバス類は特異である.ここでは,ブラックバス類を含めた外来魚の管理法の検討に資するため,魚の放流にかかわる日本人の文化的・精神的土壌についての考察をもとに,観賞魚の輸入や内水面漁業における放流の現状を概観したうえで,外来魚をめぐる問題の所在と対処の方策を考察する.
著者
馬渕 浩司 瀬能 宏 武島 弘彦 中井 克樹 西田 睦
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-12, 2010-04-26

琵琶湖に生息するコイの中には、ユーラシア大陸のコイとはミトコンドリア(mt)DNAの塩基配列で明瞭に異なる個体が存在することが、2005年に明らかにされた。これらの個体が保有するmtDNAは、当初は琵琶湖固有のハプロタイプと考えられたが、その後の研究で、近縁あるいは同じハプロタイプが国内の他の水域からも発見され、現在では、日本在来のハプロタイプ(在来型ハプロタイプ)の一つであると考えられている。在来型ハプロタイプの存在は、「日本のコイはすべて中国から移殖したものである」としたJordan and Fowlerへの強力な反証であり、古琵琶湖層からの咽頭歯化石の発見や、縄文遺跡からの咽頭歯の出土と併せて、日本には有史以前から在来のコイが分布し、現在もそれに由来するコイが生息することの明白な証拠となっている。本研究では、琵琶湖内における在来系統の分布状況を知る第一歩として、湖内の各所から採集された750個体以上のコイについてmtDNAの型判別を行い、各生息場所における在来型、導入型ハプロタイプの出現頻度を調べた。また、2004年に猛威をふるったKHVの在来系統への影響を評価するため、蔓延時に湖岸で斃死していた100個体を超えるコイのmtDNA型判別も行い、上の結果と比較した。
著者
中井 克樹
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.277-280, 2009 (Released:2011-02-16)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1