著者
上嶋 健治
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2546-2553, 2007-11-10

従来,循環器疾患治療の原則は安静であり,運動療法は禁忌とみなされていた.しかし,心臓リハビリテーション(心リハ)が運動耐容能だけでなくQOL(quality of life)や生命予後までも改善することが報告されてきた.とくに心筋梗塞後の死亡率を大幅に改善するとともに,ステント留置例にも早期から安全に実施できることが明らかにされた.また,心リハはACC/AHAの慢性心不全のガイドラインでもクラスIのエビデンスレベルで有効性が証明されている.本邦でも1988年に心筋梗塞症例に心リハの保険診療が認められて以降,現在まで狭心症,開心術後,大血管疾患,慢性心不全,末梢動脈閉塞性疾患にも適用拡大されてきた.しかし,欧米では心リハが当初の身体機能の回復から,冠危険因子是正や冠動脈病変退縮を目的とした予防活動に変貌しつつある.その中で,本邦の「エクササイズガイド2006」は,メタボリックシンドロームを念頭に置き,運動の実践方法を提示したものといえる.このように,心リハは,循環器患者の「回復の医学」でもあり,健常者も含めた「予防の医学」でもある治療効果の大きい先進医療である.<br>

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