著者
家入 誠二
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.353-360, 1995-04-25
被引用文献数
5

生物経済モデルによって豚の諸形質の経済価(EV)を推定するとともに,わが国の豚の育種構造での各々の種畜から産肉および繁殖形質に発現した累積割引総量(CDE)をgene flow法から求めた.形質1単位当りの売上収入は,熊本県内の屠畜場で1991年に得られた1,258頭の肉豚の枝肉情報の重回帰分析から推定した.ただし,肉豚1頭当りの収入は,1993年の大阪市場の格付け毎の年平均枝肉単価から算出した.<br>主な豚の選抜諸形質のEV(円•年<sup>-1</sup>•頭<sup>-1</sup>)は,肥育豚の発育率:16(g<sup>-1</sup>),背脂肪の厚さ:-331(mm<sup>-1</sup>),一腹当り正常産子数:764(頭<sup>-1</sup>),離乳時事故率:-88(%<sup>-1</sup>)および肥育豚事故率:-179(%<sup>-1</sup>)であった.また,評価期間20年,割引率6.5%の時の,雌系統A,雌系統Bおよび雄系統Cから後代への遺伝子経路を経て,産肉形質および繁殖形質に発現したCDE(頭•半年•頭<sup>-1</sup>)は,A母からはそれぞれ0.516,0.979,B父からはそれぞれ0.499,0.849またC父からはそれぞれ1.109,0.019であった.<br>重回帰分析と生産モデルを組み合せた本方法は,形質の利益に対する非線形性を考慮でき,さまざまな形質のEVの推定に有効と思われる.また,CDEによって補正されたEVを用いることで,経済的視点に立った豚の改良方向の決定と,将来の育種環境の不確実性を考慮した育種計画が可能となった.

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