著者
石塚 雅規 斎藤 継之 江前 敏晴 磯貝 明
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.437-447, 2010-04-01
参考文献数
18
被引用文献数
2

広葉樹漂白クラフトパルプをTEMPO触媒酸化することで,セルロース中のC6位の水酸基の一部をカルボキシル基のナトリウム塩に効率的に変換できる。そこで,酸化の程度を変えたTEMPO触媒酸化パルプを一定条件で水中解繊処理して得られるスラリーから手抄きシートを作製し,各種物性評価を行った。広葉樹漂白クラフトパルプは3mmol/g―pulp以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加してTEMPO触媒酸化を行うことにより,解繊処理によるパルプ繊維の切断が促進された。TEMPO酸化広葉樹漂白クラフトパルプの解繊処理によって得られた切断したパルプ繊維およびナノファイバーを含む微細化物も,水道水を用いた抄紙法によって90%以上紙中に歩留まらせることができた。TEMPO触媒酸化パルプの解繊物を水道水で抄紙すると,水道水中の多価イオン(例えばカルシウム)を多く含むシートになり,イオン交換機能が期待できる。解繊が進むに従い,シートの密度は高くなり,通気性の低い緻密なシートになった。これらの結果から,抄紙条件を最適化することにより,一部ナノファイバー化したTEMPO触媒酸化パルプ解繊物の抄紙法によるシート化が可能であり,イオン交換能等の有する機能性シートへの利用が期待される。

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