- 著者
-
石塚 雅規
斎藤 継之
江前 敏晴
磯貝 明
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.8, pp.955-968, 2010-08-01
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
1
広葉樹漂白クラフトパルプ(HBKP)をTEMPO触媒酸化して水中で解繊した高フィブリル化物(FTO―HBKP)を,HBKP懸濁液に0~30%添加し,水道水を用いてHBKP/FTO―HBKP混抄シートを作製した。水道水中のカルシウム等の二価イオンを介したイオン架橋により,FTO―HBKPを効率的にシートに歩留らせることができた。FTO―HBKPの添加量が10%から30%に増加させることで,混抄シート密度は直線的に増加し,貫通細孔径分布は小細孔径側に移行した。通気度はFTO―HBKPの添加により低下するが,30%のFTO―HBKP添加でも一定量の通気性を維持していた。この混抄シートの大気中でナノ~ミクロンレベルの粒子捕集率の評価を行ったところ,FTO―HBKP添加量を増加させることで捕集率を向上させることができ,高性能集塵紙としての利用が期待された。続いて,未解繊のTEMPO酸化針葉樹漂白クラフトパルプ(TO―SBKP)シートのイオン交換特性について検討した。TO―SBKP中のカルボキシル基は抄紙時の水道水中のCa,Mgイオン,あるいは添加した硫酸アルミニウム由来のAlイオンを効率よく吸着した。乾燥履歴のあるTO―SBKPシートの硫酸アルミニウム水溶液浸漬によるAlイオン吸着能も維持しており,イオン交換能を有する機能性シートとしての利用が期待された。