- 著者
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江前 敏晴
- 出版者
- 一般社団法人 日本木材学会
- 雑誌
- 木材学会誌 (ISSN:00214795)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.4, pp.206-215, 2014-07-25 (Released:2014-07-29)
- 参考文献数
- 52
- 被引用文献数
-
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紙は,歴史的に大量に使用されてきた代表的な生物材料である。軽量,高生産性,低コスト,液体吸収性,リサイクル適性,易廃棄性のような特性を持つがゆえに,通常の印刷や筆記以上の用途を提供してくれる可能性を秘めている。ペーパーエレクトロニクスは,そのような新規用途の1つであり,血糖値を電気化学的に測るような医療用途向け微小流体紙基板分析デバイス(µPADs)が例として挙げられる。紙の上に作製した線状又は面状電極の安定した導電性を確認する基礎研究に続いて,他の多くの紙デバイスが開発されてきた。照明,ディスプレイ,薄膜トランジスタ,電池やキャパシタのようなエネルギーデバイス,RFIDタグがその応用例である。最後に,材料の構造によって紙基板をいくつかのタイプに分類し,印刷方法の多様性についても論じた後,明るい将来展望について述べた。