著者
宮野 法近 国分 牧衛
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.351-356, 2010-07-05
参考文献数
10

宮城県では南部の玄米品質等級が他地域に比べ低いことが指摘されている。前報では出穂後20日間の日最低気温、日照時間および出穂期までの気温が等級に影響を及ぼしている可能性を指摘したが、移植から出穂期における気象条件の詳細な解析には至らなかった。そこで本研究では過去28年間を、ササニシキが中心に作付けされた1977から1993年まで(以後1993年まで)と、ひとめぼれが中心に作付けされた1994から2005年(以後1994年以降)に分け、1等米比率とm2当たり籾数の関係および移植盛期から出穂期までの気象条件がm2当たり穂数へ及ぼす影響について、県内の仙南、仙台、大崎地域間で比較検討した。1993年までは、全ての地域で一定のm2当たり籾数以上で1等米比率との間に負の相関があった。1等米比率と相関が見られた年次の各地域のm2当たり籾数は、m2当たり穂数と正の相関があった。m2当たり穂数は仙南地域が7月の積算日照時間、仙台地域が幼穂形成期から減数分裂期の日最低気温、大崎地域が7月の日最低気温とそれぞれ負の相関が見られ、影響を受ける出穂期前の気象条件は地域によって異なった。1994年以降においても、仙南、仙台地域ではm2当たり籾数と1等米比率の間には負の相関、m2当たり籾数とm2当たり穂数の間には正の相関があった。m2当たり穂数と相関を示す気象要因は、仙南地域が6月の積算日照時間、仙台地域が移植盛期から夏至までの日最高気温と正の相関が見られた。また、ササニシキ、ひとめぼれでは出穂期前後の気象条件が1等米比率へ及ぼす影響が異なっていた。

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